夢の中の、心象風景の、夏。死体。廃線。海。あとは、神様。
芝川愀
夢の中の、心象風景の、夏。死体。廃線。海。あとは、神様。
夢の中の、心象風景の、夏。死体。廃線。海。あとは、神様。ずっと探している景色がある。それは見たことのない景色で、きっと現実には存在しないのだと思う。僕の脳からそれを抽出して、そっくりそのままセットを組んでもしっくりこないだろう。足りない。なにが?君、君が足りない。君はどこにいる。君はどこにもいない。君も僕の頭の中にしかいない。顔も声もわからない。いつか出会うはずの君が、僕と同じ苦しみを抱える君だけが、同じ景色を持っていて、同じ夏を求めていて。だから、それまですり減らせないで欲しいけれど、それもきっと無理だから、それすら無理なら、もう。
そうやって君は飛び降りた。私は君に出会えなかった。雲が晴れて、蝉の声も止んで、私は本当に独りになる。あと少し待っていてくれればよかったのに。あと少し、本当にあと少し待っていてくれれば、私たちは肩を寄せあって生きていくことができたのに。
君の景色を見ていた。今年もまた、夏が終わる。
夢の中の、心象風景の、夏。死体。廃線。海。あとは、神様。 芝川愀 @sbkwsyu
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