王様「裸の王様な」大臣「はぁ」

王様「なあ大臣」

大臣「はい、王様」

王様「新しく入った侍女、いい体してるよなぁ」

大臣「セクハラか?(はぁ)」

王様「逆だぞ大臣」


王様「なんとか合法的に見れないものかなぁ……あ、閃いたぞ!大臣、仕立て屋を呼べ!」

大臣「はぁ」

王様「いいか、バカには見えない服を作って、一芝居うつのだ」

大臣「はぁ」

王様「王宮の制服をバカには見えない服にすれば合法的に見れるぞ」

大臣「すごいですね、嘘でも真でも王様には服が見えませんよ」

王様「なあそれってワシをバカって言ってる?」


大臣「呼びました」

仕立て屋「出来ました」

王様「でかした!……おい侍女!侍女よ!」

侍女「なんでしょう王様」

王様「これはな……」

侍女「わぁっ!なんて素敵なお召し物なんでしょう!」

王様「えっ?」

大臣「えっ?」


仕立て屋「これは王様が新しく仕えることになったアナタへのプレゼントです」

侍女「まあ王様!こんな素敵なお召し物を私なんかに!?」

仕立て屋「よろしければ今お披露目なさるのがよろしいかと」

侍女「ああそんな!こんな素敵なお召し物の袖に手を通せるなんて!ではお言葉に甘えて少し席を外しますわ」


王様「なあ大臣、もしかしてお前」

大臣「……大変素敵なお召し物でしたね」

王様「(まあ別に大臣が見えようが見えまいが関係ないか)」


王様「(あ、しまった。これ別の衣装に入れ替えられる可能性が)」

侍女「お待たせしましたわ!いかがでしょうか王様!」

王様「お?おお!?」

王様「(入れ替えとか杞憂だった……服だけ見えずになんか白いもやがかかってる……)」

侍女「王様?」

王様「あ、ああ!これは何というか、今まで見たこともない衣装だ!素晴らしい!」

大臣「…そうですね、まるで青空に浮かぶ雲のような自然の調和、そして光り輝く太陽の光のような存在感を放っているかのよう」

王様「随分詩的な表現だな大臣」

仕立て屋「お分かりになりますか!!」

大臣「えぇ…?ええ……」


侍女「はぁ……戦争で足吹っ飛んで働けなくなったお父さん、代わりに働いて身体を壊してしまったお母さん、まだ小さい兄弟たちのために出稼ぎに来て、こんないい思いをしていいんでしょうか……」

侍女「王様、こんな素敵なお召し物をありがとうございます!この御恩が返せるか分かりませんが、きっとお役に立って見せますので、なんなりと御用をお申し付けください!」

大臣「……よかったですね王様、なんでもお願い聞いてくれそうですよ」

王様「この流れで言ったらワシどんだけ鬼畜なんや」


王様「あ、なあ仕立て屋。ワシの分も作ってくれない?」

仕立て屋「ええ、構いませんよ!」

大臣「(これは、痛い目見るときのパターンだな)」

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王様「バカには見えない服?」 黒墨須藤 @kurosumisuto

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