第35話 最悪の二人

「まさか同士がいるとは。そうなんだ、俺も世界を滅ぼしたくてね。よろしく頼む」

「はい」

(少しでも善人のふりをしておくか)

「それでは森の大陸に逃げましょうか」

「どうやって?」

「もちろん泳いで」


古代魔獣の調査が進む。こちらも半生体兵器、読めない古代文字。亀型を作った古代の者たちが作った可能性が高い。言い伝えがあったな。古代魔獣がいるから近づくなってことだったのか。もし間違って起動してしまえば世界が滅ぶ。恐ろしい話だ。それにしても二体目か。頭が痛い話だ。この調子ではまだどこかに隠れているだろう。


「いたか?」

「駄目です」


あれから60日。各国連携してローラー作戦を実施しているのだがギリィが見つからない。砂漠の国は住める大地が少ない。潜伏場所は限られる。水や食料を確保するときに必ず足がつく。古代魔獣までは金を積まれた協力者がいた。こちらは既に確保。彼のことを知らなかった人物だった。今回は世界を滅ぼす魔獣を復活させるギリィとして世界に発信している。協力者が現れるとは思えない。協力者がいても購入量や匿う場所が必要なため見つかる可能性はある。この状態で潜伏は可能だろうか。90日が経過、各国首脳は他大陸へ逃げたと判断、街の封鎖を解き、船の運行を再開。逃げられてしまったか、面倒なことになった。俺達は竜人の国に戻り、今後のことについて話し合う。


「まだ戦いは続きそうだ。レベル上げをしておこう」

「それなら魔獣が多数現れる魔獣挟を使うといい」


魔獣峡は魔獣が無限に湧いてくる場所。強力な竜人がここに住んでいる理由でもある。竜人が国を挙げて湧いてくる魔獣達を退治していた。世界の守護をしていたんだな。いつもの四人で魔獣峡へ移動。魔獣退治を開始。数を倒すなら無限弾のエマとアイエスだな。エマに乗り魔獣達を倒す。強い魔獣に遭遇したときは乗り換え。翌日はアイエス。二日休みをしばらく繰り返し、レベルアップ。


「まだ強くなるとは」


仲間の能力アップが付与される。全員が強化された。


テラ

・通常ブレスがコキュートスブレスに、チャージ攻撃がアブソリュート・ゼロ、威力超特大にそれぞれ変化


エマ

…射程中にアップ、威力中にアップ


アイエス

・威力大にアップ


カトナ

・魔法弾使用回数増加


それからシーズとルイをまとめておこう。


シーズ

・見た目は複葉機の魔獣

・おでこの宝石から光の魔法弾

・威力大、射程中、追尾弾、弾数小、時弾発射まで少し時間がかかる

・今回の変化、口からも追尾弾を発射、一度の攻撃に二発の追尾弾が発射されるように


ルイ

・悪魔のような見た目

・右腕からレーザー

・威力大、射程中、弾数小

・威力大から特大、両腕からレーザー発射


移動速度が全員1.25倍。強力な能力上昇。当たらなければ死なないからね。ボムストックが2発になる。これも強力な強化。さらにボムの仕様変更、攻撃は今まで通りだが、防御壁が薄皮一枚ほどの薄さに。これによりボムの無敵中にかすりをし放題になる。圧縮玉が6、魔獣玉が5に。人間形態も強くなる。最初の頃よりもかなり強くなった。魔獣を片付けてくれて助かったと王。ほぼ壊滅させたが、また湧いてくるようだ。古代魔獣の調査が終わり粉々に破壊。封印されていた場所も念入りに破壊し取り壊し。悪用させないためだ。ギリィは未だに見つからない、協力者がいるのかな、世界を敵にしているやつに味方ができるのだろうか。動きがあるまでは竜人の国で待機。世界の中心部にあるから対応しやすい。後手に回ってしまっているが仕方がない。たまに勇者達が来て、訓練の手伝いをしてくれた。そんなある日。


「よう、よくも恥をかかせてくれたな。あれから一撃のドミトフなんていう不名誉なあだ名が付いちまった。ボコボコにしないと気が済まん」


ドミトフが多数の仲間を引き連れ俺達に喧嘩を売りに来た。これはいけない、早く逃さないと。ドミトフに走りより前に立ちふさがる。


「どうした? 命乞いか」

「早く逃げろ、今の彼女達は獰猛で危険だ」


後ろに何者かが近づく気配。テラだ、俺を持ち上げ上に放り投げる、シーズがナイスキャッチ。ああ、始まってしまう。パワーアップ前でも勝てるか怪しい力の差だったか今回の能力上昇で完全に人、獣人の強さを越えてしまった。世界中探しても彼女達に勝てる生物は古代魔獣くらいだろう。現在力を手に入れ力を持て余している状態。力を試したくてウズウズしている。竜人族の若者達は彼女達の生贄となってしまうだろう。こうして血の宴は始まった。

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