第34話 古代魔獣二体目

テラと共に拠点来て話をしていると、王からの呼び出しがかかる。


「また古代魔獣が現れた。今度は砂漠の大陸だ」


砂漠の大陸の地図の中央を指し示す王。大陸の中央に埋まっていたとされる古代魔獣。亀と同じように半分機械の体、各国は古代魔獣と断定。今回は前回と違う形状。身体が円形に近い魚型で背中全体に砲台が仕込まれている。現在は暴れておらず砂漠中央部にとどまっている。ギリイが逃げ出したタイミングと丁度噛み合う。やはり彼が関与している可能性があるな。


「見たことないね」


エマは知らない魔獣と答える。古代魔獣は亀型だけ知っているとのこと。俺の脳内にはコイツに関する情報がある。広範囲に魔法弾を一斉に発射、弾と弾が密集しておりよける隙間がなく、弾速が速いため大きくかわすことが出来ない。そして自機狙い弾。今回は安置はなし。通常ならかなり、どころか攻略不可能な相手だが、属性無効を持っているため、倒すのは可能。しかし闇属性の協力者が必要だ。王に相談、探してもらう。こちらでも動く、知り合いに闇属性で飛べる者がいるかを聞いて回る。


「それなら私が手伝おう」


ルイに手伝ってもらえることに。獣化すると漆黒の悪魔のような見た目。乗って能力を確かめる。飛ぶ速度はテラと同じ、攻撃方法は左腕から発せられる闇魔法、レーザーのようなモノが発射される。射程は中、威力中、弾数は10と少なめ。強いな、契約して本格的に仲間になってもらおう。契約後もう一度空へ、攻撃が右手から発せられる魔法に変化、威力が大になっていた。


「まさか強くなるとは」


自分の変化に驚くルイ。王に報告し彼女とシーズを仲間に加え、砂漠の大陸を目指す。移動中、乗り換えの練習を入念におこなう。シーズとの行動は初めてだが大人しいものだった。これなら心配ない。古代魔獣は相変わらず微動だにせず。船の移動でも問題なさそうだ。船に乗り出港、そして砂漠の大陸に上陸。大陸中央へ行ってくれる乗員を探していた人がいたという情報が入ってきた。そして大量の食料と水を買い込んでいったという。ギリィではないようだが彼の協力者だろうか。ゴウタマジ王の協力を得て、古代魔獣へ接近してくれる船と乗員を集める。各国の協力も得られていたためすぐに集まる。飛ぶことが出来る護衛の人達も集まった。複数の船を準備、決まった位置に配置する。大破しても護衛の人が乗員を飛んで運び船があるところまで移動。大船団が砂漠中央部へ向け出発。一艘ずつ止まり減っていく。最後の一艘になり中央部を目指す。しばらく船を走らせていると見張り台の人が大声で叫ぶ。


「見えた! やつだ!」

 

船はターンをし停止する。ここからは俺達の出番。カトナに乗り古代魔獣へ向かう。見えてきた、魚型の古代魔獣。


(来たな、シン。奴さえ倒せば俺の天下だ。俺は古代魔獣とは違い支配を望む。人間が死んだら贅沢できないからな)


魔獣もこちらに気が付き迎撃体勢を取る。尾を砂の中に埋め、体を起こす。隙間のない赤い魔法弾を発射。まずは火属性、エマに乗り換える。そのまま攻撃を受けるが同属性無効のためダーメージなし。簡単なように見えるが一撃でも喰らえば即死の攻撃。乗り換えミスは死を意味する。ボムがあるから一回だけ回避は可能。


「……」


次弾が来ない。とはいえこちらから仕掛けるのは危険。様子を見ていると、攻撃を再開。今度は属性を変えながら弾を発射してくる。さあ、ここからが本番だ。半日間属性縄跳び。属性弾の順番はランダム、パターンは決まっていない。たまに自機狙い弾、これは動いてかわす。集中力が試される。自信はある、一周クリアする事に難易度が上がる無限周回のゲームを一日やり続けたことがある。途中難易度が変わらなくなるから本当に体力勝負となる。そのため水と少しの食料を持ってきていた。食べたり飲んだりする暇があるかわからないが。テラに乗り換え無効、すぐにアイエスに乗り換え無効。自機狙い弾が飛んできた、エマに乗り換え弾をかわし魔法弾を無効。順調だ、だがここで思わぬ事態が起きる。敵が攻撃を停止したのだ。もう弾切れ? そんなはずはない。故障でもしたのか。


(無理だ勝てん。世界を滅ぼす古代魔獣だぞ、そんな簡単に処理するなよ! 自動状態にして逃げるか? いや人類が滅ぶ可能性がある、やめておこう。このまま放置でもしばらくは様子を見るだろう。念の為古代魔獣が封印されていた真上で戦っておいてよかった。ここからオアシスまで隠し通路がある。くそっ、それでも逃げ切れるかわからんが)


しばらくたっても攻撃してくる様子はない。背中の砲撃の射線から外れてみる。背中をこちらに向ける様子はない。自機狙い弾の砲台も明後日の方向を向いている。完全に止まっているのか。前方にまわり近づく、止まったままだ。ブレスを放つと古代魔獣はひっくり返った。体の下部に穴が空いている。そして地下に続く穴かあることがわかった。状況を見て古代魔獣が停止したと判断。拍子抜けだが無事終わってよかった。調査員を呼び古代魔獣とその地下を調べることに。魔獣下部の穴は内部に入れる入口だった。中は広間になっていて大量の食料と水が置かれていた。。モニターのようなものが多数配置されている。操縦室になっているようだった。地下は古代魔獣が封印されていた場所のようだ。地下道を発見、オアシスの街につながっていることがわかる。これらの状況からギリィが俺と対峙したが早めに切り上げて地下から逃げていったのではと推測された。ギリィは現在も逃走中。すべての街を封鎖。船の入港出港は完全に停止。ギリィをあぶり出すことに。


(街に入れない、船にも乗れないから逃げられない、そもそも船が止められたか。まずいぞ)

「あなたは今世間をお騒がせ中のギリィさんですね」

(ちっ、みつかっちまった。しかも考えうる中で最悪の人物に。誤魔化しは通じない、しかもイカれている。ここで殺るか?)

「手を組みませんか?」

「なんだと?」

「私はもう疲れてしまいました。人間は誰も彼もが汚れた存在。この世界を滅ぼしてしまいたいのです」

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