第28話 魔獣の王
「頼んでおいたものを見せてもらっても?」
「いいだろう」
地下の博物館に移動。古代文字を見せてもらった。全く読めない。竜人の国へ送られてきた資料は少なかった。もっとあると聞き、異世界人の俺ならもしかしてどれかは解読できるのではと思ったが関係なかったようだ。王と話しをしていると魔獣により大きな被害があったことを兵が報告しに来た。
「魔獣はまだまだいますね」
「迷惑この上ない」
拠点を作ろうかな、戦いは終わったけど、魔獣は減ってない。今まで通り人々を襲っているから研究したほうがいい。相談すると近くにある昔採掘場だった場所なら自由に使っていいということに。手紙を送りルイを呼び寄せる。来るまでの間、俺達は採掘場の整備をする。石で作られた家はそのまま使えそうだ。ルイとシアが拠点予定地に到着。森の拠点は一旦閉鎖。森の国だけでなく砂漠の国に渡って魔獣を調査していたようだ。魔獣の数が増えている。家や採掘場の洞窟、森に入っていく魔獣達。二人ではということでメンバーが増えている。全員魔族の女性、ルイのお母さんが送ってきた人達だろうか。魔獣の世話や研究の手伝い、魔獣を使い金策などをしている。自立してもらえるのは助かる。整備しているある日、街へ買い出しに行っていた子が、慌てた様子でルイに話しかける。
「ルイ様、じゃなかったルイさん、緊急のお知らせです」
「どうした?」
「魔獣の王、シーズが姿を現しました!」
「ついに来たか!」
ルイが手に持った書類を撒き散らしながら立ち上がる。魔獣の王と呼ばれるその魔獣は、その昔人類と戦っており、当時最強だった冒険者組織と戦い彼らに勝利。魔獣王の称号を得た。魔獣の絵を見せてもらったのだが特徴的な見た目をしている。二翼の翼の飛行機、複葉機に似ていた。プロペラ部は顔になっている。名前は魔獣の王だが人を襲うことはしない。戦闘になったのも冒険者達が襲ったからだった。少しして魔法都市の兵がこちらに。魔獣の王シーズが現れたから気をつけるようにという話だった。ルイが報告を聞いてからずっと興奮気味。さては何かを企んでいるな。
「もちろんシーズの捕獲をする予定だ」
大量の物資を集めているルイ。これは全てシーズを仲間にするための道具か。彼の性格は理解していて攻撃をするためのものではないというルイ。つまり物で釣って仲間にしようというわけだ。俺も捕獲作戦に同行することにした。単純にその魔獣に興味があったからだ。発見された地点を探すと魔獣シーズを発見。現在は地上に降りている。複葉機の脚に当たる部分を使い二足歩行の人間のように地上を走っている。なかなかシュールな絵面だ。飛ぶと脚を後ろに折りたたむ。羽はやっぱり羽、二翼を器用に扱い羽ばたくように動く。特に警戒する様子もなく自由気ままに振る舞うシーズ。俺の隣では着々とルイが準備を進めていた。
「始めるぞ」
「はい」
彼女達は食べ物やおもちゃをシーズを囲むように置きだす。先程から興味を示すものがあった。食べ物でもおもちゃでもなく、俺だ。ちらちらとこちらを気にするように見てきた。そして目が合う。ゆっくりとこちらに近づくシーズ。テラ達が警戒するが、手で制止する。穏やかな顔だ、攻撃してくる様子はない。大きな顔が俺の目の前に。目を吊り上げながら後方を向く、乗れといった仕草をしてくるシーズ。彼に乗ると羽を羽ばたかせ空へ。自然とシーズが仲間になった。攻撃方法はおでこに埋まっている宝石から光の魔法弾を発射、しかも追尾弾。冒険者達を倒したのもうなづける。魔法の追尾弾はかなり強力。適当に逃げ回りながら撃つだけで勝てる。移動速度はテラと同じくらい、攻撃力は中、射程は中、時弾発射まで時間がかかる、弾数制限あり。着陸後、シーズは俺になつく。頬を擦るようにじゃれついてくる、かわいいやつだ。俺の仲間とも仲良くするようになった。契約をすることに。どこが手だろう? 少々手こずったが契約成功、攻撃力が大になった。
「レベルアップ!」
金策中にレベルアップ。圧縮玉5、魔獣玉4とそれぞれ増える。属性攻撃無効が追加。これはかなり強力な能力だな。試しに属性を合わせ攻撃を受けてみる。こちらに当たると魔法弾は砕け散り消え去る、そしてダメージは0。まあ平和になったから使わない可能性も高いけど。
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