第24話 安置
翌日、俺達は砂浜で古代魔獣を待つ。目の利く者が常に海を監視する。空気が張り詰める。
「海が動いた、来たぞー!」
監視台から即逃げる監視者。移動の準備をする。カトナ以外は圧縮玉に。
「ボクに任せて!」
緊張はしているが元気をアピールする彼女。俺も負けてられないな。古代魔獣の姿が見えてきた。陸地に入ったのを確認、カトナに乗り部隊の先頭になり魔獣に向かって飛ぶ。思っていた以上にでかい。先行部隊に緊張が走る。そして古代魔獣の動きが止まる。
「魔法弾が来るぞ! 全員回避体勢をとれ、いつでも逃げられるようにな」
部隊長からの指示、各自身構える。古代魔獣から魔法弾が発射される。横画面でみるときれいにばらまかれている魔法の弾、弾幕の迷宮と化している。避けても後続の魔法弾に当たるだろう。俺以外は避けられないと判断。
「全員逃げろ!」
撤退を開始する。すでに打ち合わせをしておいた。彼らは俺達よりも後方に配置している。無理そうなら俺が判断して部隊を撤退させる指示を出すことになっていた。俺とあいつとの勝負になりそうだ。大量の魔法弾が発射される。弾と弾の隙間はある、回避は問題なさそうだ。テラに交代してもいけそう。問題は追尾弾。背中が赤く点滅しだした。そろそろ発射か。テラに乗り換え、弾を回避しながらチャージをおこなう。ゲームなら硬いが破壊できる弾だった。破壊できなかったときの事を考えボムの準備をする。背中が開き高速の追尾弾が発射された。爆音をあげながらこちらに向かってくる。近づいた弾にブレスを放つ。
「コキュートスブレス!」
追尾弾が凍りつき動きが止まり落下していく、見事対処に成功した。耐えることは出来そうだ。とはいえこのままではジリ貧、テラ以外の攻撃力では追尾弾を止めることは難しい。ブレスは残りニ発、ボム一発の三回耐えられるだけ。こちらから動く。またカトナに乗り換える。
「カトナ、突っ込むぞ」
「わかった」
弾丸の雨の中、回避しながら古代魔獣に接近していく。近づくほど当然弾幕は厚くなる。俺でもここらが限界か。少し下がり位置を調整。背中が赤く点滅、追尾弾だ。
「交代しないの? 魔法結界?」
「違う、だけど大丈夫だ」
追尾弾が発射、弧を描きながら高速の弾がこちらに向かってくる。だが方向を変えきれず我々の後方の地面に着弾、爆発する。
「やった! 追尾弾を簡単に処理した! あれ、そういえば全く動いていないような」
「気がついたか」
安全地帯。敵がどれだけ弾を撃っても自機に攻撃が当たらない場所。古代魔獣の魔法弾は数は多いが自機を狙ってくる弾はない。そして機械のように正確な射撃。止まって攻撃をしている。追尾弾もここなら飛び越えていく。速すぎる弊害だな。様々な要素が重なって安全地帯が出来上がっていた。まさかこの世界でも安全地帯で回避することになるとは。
「ただこのままだと倒せないよね?」
「当然そこも考えてある」
しばらく飛んで様子を見る。半日ほど経つと古代魔獣の動きに変化が。弾の発射数が少なくなると、エンジンが空回りするような音が古代魔獣から聞こえてきた。そして魔法弾と追尾弾を飛ばさなくなった。
「エネルギー切れだ」
ゲームでもある程度時間が経つとボスが自滅してクリアとなる。エネルギー切れにより自機に破壊されたと説明されている。実際は無限居座り防止の処置だ。安全地帯に入って、何もしないと終わらなくなってしまうからね。それにしても思ったより時間がかかった。永久機関かと焦ったぞ。
「動きは止まったがまだ終わっていない、破壊するぞ」
エネルギー切れなだけ、ある程度経てばまた回復し攻撃を開始する可能性がある。破壊方法を考えながら周囲を飛ぶ。背中に追尾弾が残っていた、半開していて、エネルギー切れになり発射できない状態か。この追尾弾を使おう。テラに切り替えコキュートスブレスを放つ。内部を破壊しつつ、追尾弾が爆発、下腹まで爆発が及び、古代魔獣は完全にその機能を停止した。近くに降り立ち俺達は勝鬨をあげる。
「報告するか」
現在俺が住んでいた国グアナタに避難している竜人王に報告。王と家臣たちは皆喜んだ。
「よくやってくれた!」
各国の王にも伝わり、戦いは終結。古代魔獣は回収し、調べることになった。現在竜人国に置かれている。既に分解され動くことはないだろう。
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