第16話 蔓の街
宿を取り地図を買ってギルドへ。テーブルに地図を広げ今後のルートを話し合う。この大陸は三日月のような形をしている。現在は三日月の中心付近。まずは中心部を目指す。港街から出て旅に出発。徐々に緑に覆われた大地になっていく。魔獣が生息しやすく、困ることが多いそう。様々な種類の野草が取れ、草は刈ってもすぐ生える。それだけ栄養豊富な土壌なのだろう。特殊なプランクトン等がいるのかも。食用野草が多いとエマは喜んでいる。本を片手に、珍しい草を採集している。まずは自分で食べてから料理に出す。美味しければその日の晩御飯に並ぶことも。ただの野菜と思うことなかれ。肉、魚の味だったりして常識が通用しない野草もある。さすがはファンタジーな世界だ。
「見えてきたぞ、でかい蔓だ」
木のように大きな蔓が生えている地域に入る。千年蔓と呼ばれ観光資源にもなっている。蔓を絡ませ作られた橋を通り街の中へ。ここは蔓の街ナスシアス、世にも珍しい蔓で出来た建物が建ち並んでいる。蔓を組み合わせて作られた宿屋に荷物を置き街に繰り出す。
「ここでは暴れられないね」
蔓は火に弱いため火を使える場所は決められている。エマは気をつけなくてはな。観光地としては面白いが生活するとなるとなかなか大変だ。料理店に入り食事をする。やはり野草関係が多い。一泊しギルドへ。中には数人の人がいるだけ、ここは冒険者が少ないな。
「当然戦闘も火は使えません。野宿も火は駄目。しかも報酬が安めなんですよ」
観光地の割には観光客が少ない。珍しいけど不便だからね。観光は蔓の建物があるくらいで地味。リピーターは期待できない。そのため街は潤っていない。最近は魔獣が増え蔓が大量に食べられて困っているようだ。だけど稼げていないから報酬は安めにするしかない。冒険者が魔獣討伐をやってくれないから害獣を駆除できずに国に頼むまでになることもあるとか。さて依頼はどんなものかな。掲示板の張り紙を見る。
「やすっ」
思わず声が出た、安い、これでは退治する冒険者がいなくても仕方がない。命がけだからね、報酬が高い仕事をするのは当然。一応対策はしている。本来なら依頼を受けてから魔獣を退治、報酬という流れだが、いきなり魔獣を退治してギルドに立ち寄り依頼紙をはがして受付、依頼完了というやり方が出来る。他のギルドでは禁止されているやり方。それだけ魔獣がいるってことだ。しかし報酬が安いのは致命的。魔獣を食べる魔獣を放ったり、毒をばらまいてはと一瞬思いついたが、現代社会で失敗している例を思い出し、なかったことに。一緒に蔓を食べる魔獣や強力になった個体がもっと荒らす未来が目に浮かんだ。そうだな、お金にはならないけど、困っているようだから退治するか。蔓を食い荒らす目的の魔獣が多数いる場所を聞き街の外へ。火は使えないから今回はアイエスにお願いしよう。
「お任せください!」
現地に向かって飛んでいく。空から見ると地上に水色のうごめく物体が多数見えた。かなりの数だな、蚊のとき以上の数。しかもここはまだ一部、数を考えると頭が痛くなってきた。角が生えたネズミのような魔獣達。奴らは食用には向かず、素材として使えるところがない。利用価値がないところが退治が進まない理由でもある。
「始めよう」
攻撃を開始する。空を飛びながら電撃を発射、魔獣を倒していく。奴らは攻撃手段を持つ。水属性の魔法を放つ。しかし弾速が遅いため攻撃のうちには入らないレベル。地上戦で倒すのは大変そうだ。囲まれて飛び道具を撃たれると逃げ場がないから厄介。
「コイツで最後ですね」
電撃を放ち魔獣を倒す。この地域の魔獣はあらかた片付けた。地上に降り退治の証拠品を回収する。当たり場所が悪く証拠品が破壊されていたりしたが気にしない。どうせそんなにお金にならないからね。受付へ、数の割には報酬は少なめ。まあそれでも続けていこう。アイエスの負担がでかすぎる。退治後は三日ほど休憩期間を取りながら魔獣討伐を続ける。
「レベルアップ!」
「おめでと」
何度か戦闘しているうちにレベルアップ。圧縮玉4、魔物玉3に増える。それから同属性からの魔法攻撃ならダメージを減少の効果をえる。この世界は六属性あり火は風に強い等、火→風→雷→水→火という関係性。光と闇はお互い攻撃力アップ。物理攻撃は無属性となる。この場合はどんな属性に対しても威力の増減はない。今回の討伐依頼は数は多いが楽ではある。アイエスの攻撃は雷攻撃、ネズミが水属性だから倒しやすいからだ。かすっただけで即死する。そうだ、ネズミが水の魔法を放つな、テラには悪いが実際食らってみて試してみよう。テラは氷属性、氷は水属性と同じ。必ず六属性のルールに従うことになる。いきなり実践で使って実はほぼ効果がありませんでしたってのは怖いからね。テラに当たってもらう。他の冒険者に実際のダメージを聞く。どうやらダメージを半減しているようだった。なかなかの効果だ。こうして魔獣を駆逐していく。時間はかかったが片付いた。宿屋の食堂で朝食を食べているとギルドの人がこちらへ。お礼をしたいとギルド長に呼び出された。
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