第14話 仲間魔獣

それから彼女が扱える魔獣を紹介してくれた。


「フロートリーフといって、静かに空を飛び、狙った獲物に実の弾丸を発射します」


ふよふよと空に浮かぶ大きな葉。しかしそこは魔獣、近づくと実の弾丸を撃たれる。彼らが好きな香水を使うと乗ることが出来る。実際に乗ってみる。音もなく空を飛ぶ。これなら獲物に気づかれず近寄れるな。うさぎをみつけた。近づいて弾丸を放つ、見事命中、うさぎの狩りに成功。なかなか面白い魔獣だ。欲しいけど連れて行くのは大変そうだなと言うと、種のような卵があり、それを孵化させなければ年単位で持ち運べるとのこと。持っていって魔獣博士に渡そう。


「行ってきます!」


翌日、アイエスを連れ村を出る。敬語はいいと言ったがどうにも慣れないとのことでそのままいくことに。街があるところまで戻った。いやぁPTメンバー4人か。心強い仲間が増えてきたな。ギルドに入り話しをしていると、酔った冒険者達が俺達に絡んできた。


「うはは、ちょっと遊んでくれよ~」


アイエスに絡んでいる。いい子だから断りづらいだろうな、ここは俺が。酔っ払いが彼女に手を伸ばした瞬間、激しい電撃が冒険者達を襲った。一瞬にして冒険者は全滅。焦げてアフロみたいになっている。


「冒険者同士の皿沿いは禁止です!」

「どうしました?」

「ひっ!」


体から電撃がほとばしっている。受付の人を怖がらせてしまっているな。それにしても喧嘩っ早い。粗野で短気、なるほど。


「気取っていたから気に入らなかったが、何だやれば出来るじゃないか」

「人間素直がいいよねー」


女性陣には好評。仲良くやれそうならいいか。いいのか? この国の西の出口まで来た。こちらもまた混んでいる。出る場合はそこまで大変ではなかった。こちら側は山になっている。そこを降りて地上へ。休憩をしながら地図を広げる。次は北西にある都市へ。旅を続け北西側の一番大きな都市オデニに到着。ここにはカンストした冒険者達が多く滞在している。彼らがここにいる理由の一つにオークションの存在がある。オークションは通常取引されない品物が出回る事がある。中には強力な武器、防具が取引されることも。カンストすると自分の能力を上げることがもうできない。これ以上強くなりたい場合は武器防具の更新は不可欠だ。それから新しい魔法や武器術を覚えることはできないが、特殊な武器を使うことで本来とは全く違うモノへと変化する場合もある。これらも自分を強化するためには必要だろう。


「私? 鉄の剣」

「革手袋」

「木の杖です」


皆弱めの武器。彼女達はそこまでこだわりはないようだ。本気を出すなら獣化するからね。ただオークションは経験しておきたいな。ギルドの資料室で参加方法等を調べる。ふむ、ちょっと良い服が欲しいのか。お金持ちが集まる場所だからな、泥だらけの服は門前払いされる。


「私は持っているぞ」


さすがは王女様、きらびやかなドレスをすでに持っていた。良い機会だ、お金はある、他三人の服を買おうじゃないか。よそ行き用は欲しいね。どうせなら良いところの服屋さんに作ってもらいたいな。情報屋に高めの金を払い情報を集める。半日後、一、二を争うという人気の店を紹介される。本来なら人気店のため、かなりの日数またなくてはならないが、高い情報量だったからと即作ってもらえることに。いいね、ここの情報屋さんひいきにしちゃおうかな。二人のドレスを新調、俺も服を作る。出来るまで観光とお金稼ぎかな。まずは観光。多数の冒険者が暮らしている区画へ。この街は冒険者達の拠点が多数存在する。冒険者に土地を安く提供、建設費も割引されるとかなり優遇している。付近に現れる魔獣は強め。そのため多数の冒険者を確保したかったのだろう。北東の街でレベルを上げてからこの街に来る冒険者は多い。ここは港街も近く世界を旅しやすい。俺達は竜の国に拠点を作ったほうが良いかな。少々内陸部だけど港までいけば全世界に船が出ている。どちらにせよまだそこまでのお金はない。拠点づくりはかなり先の話になりそうだ。観光をして料理店に入り晩御飯。こうして日が経っていく。


「シン様、服が出来上がりました」


泊まっていた宿屋に連絡が来る。服を取りに店へ。


「案外私も似合うかも~」

「素敵な服ですね」


嬉しそうに鏡の前に立ち試着する二人。共にご満悦だ。翌日、ドレスを身に着け馬車に乗りいざオークション会場へ。入場するのは簡単、冒険者カードを見せるだけ。手続きが済み会員となり中へ。まずはどんな物が取引されているか資料室で情報を漁ることにする。買いたい武器を選んだところで、取引資料を入手。そこには目玉が飛び出るほどの高額で取引される品々が多数並んでいた。手に入れば強くなるから際限なく上がるわけか。カンスト冒険者なら大金を稼げる。お金出して入手できて強くなるならいくらでも積むだろう。今回の俺達は安めの武器を買うだけだけ。資料と武器の性能をが書かれた図鑑を見比べ、欲しい武器を探す。三人が気に入った武器は安くて取引が多く問題なく手に入りそうだ。後は取引される日。予定表を見る、3つの武器が乗っているな。競り落とせれば5日以内に全部買えそうだ。翌日からオークションに挑む。最後に一番高い金額を入れたものが競り落とす形式。一つ目のフェザーソードは難なく手に入れた。二つ目の雷鳴の杖は少々競ったが向こうが諦めゲット。三つ目のハイメタルナックルはライバルが誰もおらず簡単に入手できた。問題なくすべて入手。実際安い商品は簡単に入手できると聞いていた。高くて希少な品はライバルが多く、裏で様々なこと、桜を使ったり等複雑なやり取りがあるようだから専門の業者に相談したほうが良いようだ。でないとかなりぼったくられるそう。帰って手に入れた武器を使い試し切り。


「名前のように軽い剣だね、気に入った」


鉄より固く、木より軽い、特殊な剣。杖は電撃の魔法の威力を上げる効果がある。ナックルは鉄よりも硬い素材、攻撃力が上がる。三人とも気に入ったようだ。オークションを堪能し、オデニの街を出る。

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