第10話 チームプレイ
観光を終えお金をある程度稼いでから街から出発しようという話しに。掲示板を見ていると、ギルドに入ってきた職員が慌ただしく上司に報告を。話を聞いていた男はみるみる青ざめてギルド長へ相談しに行くことに。どうやら大きな問題が発生したようだ。しばらくして赤い依頼紙が掲示板に張り出される。赤の色は緊急を意味する。そして難易度が表示されるのだが、今回は星四、高ランクの依頼。最大五。カンスト者を複数集めてようやく退治出来るレベル。討伐対象は「クイーンモスキュート」、巨大な蚊の魔獣だ。かなり頑丈な体、そして厄介なのは人間程度の大きさの蚊の魔獣を大量に従えていること。我々だけでは難しいなとエマ。今の連射力が上がったエマならクイーンまでは行けるが硬すぎてダメージを与えられないだろうとのこと。私のブレスなら倒せるだろうが魔獣が多すぎてそこまでたどり着けないとテラ。んんー? ということ倒せるな。
「やってみるか」
「無理だと思うけどって、ああ、そういうことか」
作戦は簡単、道中をエマ、ボス戦はテラに乗り換える。今回の作戦は圧縮玉を使う、少し練習していこう。テラを圧縮玉に入れ、エマに乗り空中へ、テラを出し乗ってエマを仕舞う。よし、いけるだろう。現場へ向かう。
「うわー、すごい数」
蚊の魔獣達が多数発生していた。多すぎて地表が蚊の色の黒色に。これ苦手な人は見るだけでも健康を害するレベルだな。魔獣討伐電れてるから良いけど。俺達を発見した蚊達が襲いかかってきた。引き撃ちをしながらクイーンの居場所を探る。黒色の大地の中央部、大きな黒い塊が動く。ヤツだ、クイーンを発見。回り込むように蚊を撃ち移動、獣人の肉壁が薄くなりクイーンに接敵、テラに切り替えブレスを放つ。三分の一を凍らせたがまだ動く。思った以上に頑丈な相手だ。まあこのくらいなら予定の範囲内。蚊達が多数押し寄せるが、魔法結界で一気に殲滅。同時にチャージをする、魔法障壁が切れる頃にはエネルギーが溜まる。
「コキュートスブレス!」
高威力の氷のブレスを発射。威力が上がり名前も変わる。あまりの攻撃力にクイーンの頭を半分吹き飛ばしながら全身を凍りつかせる。そのまま絶命、勝負あった。チャージ強いな、溜めるのに隙があるがボム使えば余裕か。切り替え、ボム、チャージ攻撃の必勝パターンが見えてきた。クイーン討伐の証拠品を手に入れると俺達は街に向かって飛び去った。
(こっそりつけていたがまさか倒してしまうとは。孤独こそが強さの秘訣と教わってきた。ここまで強くなったから間違いではなかったが。ははは、そうだな、修業を終え、いつか俺も自分の仲間が欲しいところだ)
街に帰り精算。一気にお金が増える。本来ならカンスト者をかなりの数集めて倒すような相手。その報酬を三人で山分け。儲かった。これならしばらく遊んで暮らせるな。お金が手に入ったしそろそろ旅を続けようか。魚介類を大量に買い込み冷凍庫に入れる。出発の準備はできた。
「サキアが仲間になれば心強かったけどなー」
「無理強いは良くないさ。時間をおけば気が変わるかも」
街を出てまた旅に。街道を歩き続け、雲まで突き抜ける岩山が連なる場所に到着。
「この階段を上っていくのか」
岩山を削った大きな階段、この先に目的地の岸壁の街がある。街には巨大な金属の棒が刺さっており、そこに建物が建てられ、太古の昔から人々が暮らしている。金属の棒は腐食しない。大昔に作られた金属なんだとか。当時地上に暮らせなくなった人々が岸壁に暮らすために金属を打ち込んだとされているが、文献も何も残っていないため実際のところは不明。非常に眺めが良いため現在は観光都市として栄えている。しばらく歩くと街が見えてきた。長く巨大な金属の棒が岸壁から突き出している。その上に多数の建物。一風変わった風景だ。建物も面白い。土地が限られているためか金属を中心に円を描くように建てられている。一部金属は完全に建物に覆われてしまっている。下の建物の下は当然奈落、あそこに暮らす度胸はないな。聞くと格安物件、主に飛べる人が暮らしているのだとか。なるほど、人間では落ちたら即死だからな。宿を取り食事を。景色がいいところを選ぶ。
「美しい」
「きれい」
日が傾き夕日になっているのもありさらに幻想的な風景を作り出していた。食事が運ばれてきた。風景を楽しみながら地上を追われてきたのなら楽しむどころではなかったろうなと太古の人達に思いを馳せ夕食を。翌日、街を観光していると住宅街から争う声が聞こえてきた。
「ここに建てられたら洗濯物を乾かせなくなっちまう!」
「この地区は建て増しが認められているんだ。嫌なら高級住宅地か他の外側に建っている建物に住め」
日照権の問題か。土地が限られているからどうしようもないな。金属部に近い下層域では窓すらないとか。すごいところに住んでいるな。ギルドの仕事も空を飛べることが条件だったりして独自性が強い。この場所に住むなら羽は欲しいかもな。岸壁の階段を上りながら上へと進んでいく。頂上まで街が続く。意外と大きな街だ。こうして岸壁を上りきり街を後にする。
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