最終章 第2話ー2

転生g@me

最終章(LAST-STAGE) 最後の契約


2.告白コール


 水帆は藤雄の真剣な眼差しに圧倒された。

「本気なの?」

「僕なりのサプライズだ…嫌なのか?」

「…心の準備ってものがあるでしょう、まさか、あんたから来るとはね…」

「返事は待つよ…僕は卒業旅行は行かない…お前も行くなよ」

 藤雄たちは、しばらく沈黙の時間に包まれた。そして…


「…あなたの気持ちはよく分かった…もう答えを出すわ」

「そうか…」

 水帆が重い口を開き、藤雄にプロポーズの返事を出そうとした。


「結婚…してあげるわよ、放っておいたら周りに迷惑がかかるから…私はあんたの監視役ほごしゃよ」

「…何か素直に喜べないけど、承諾してくれたんだな」

「卒業旅行は行かないとして…私たちだけで旅行しようよ」

「良いね、のんびり国内で旅行でも…」

「…ああ、そうだ、結婚するの良いんだけど…条件つけていい?」

「ああ、言ってみろよ」

「不倫しないと約束して…発覚したら承知しないわよ」

「分かりました」

 その時、藤雄は水帆の険しい表情を恐れて、素直に従う姿勢を見せた。二人の間に蟠りが無くなり、次第に男女の関係のムードになるが…


「…あんた逞しくなったわね」

「そうかな?何か一眠りしてスッキリした気分だ」

「付き合い長いけど、初めて惚れたかも…よくできました」

 水帆は藤雄に密着して、彼の頭を軽く撫でた。幼馴染ではあるが、水帆は姉御肌で藤雄を支える立場となる。

 ひとまず、藤雄のプロポーズ作戦は成功して、彼らの新たな人生が描かれるのであった。

 それから時が流れていき…


 藤雄と水帆は約束通り、大学卒業後に結婚した。

 藤雄は一般企業での短期間勤務後、親友の晃司こうじと共に、ゲーム制作会社<Curiosity Box>を設立したのだが…


 藤雄は会社経営が軌道に乗ると、トップの座を晃司に譲って退任、退職を決意した。ちなみに、伸郎のぶろうは<CB>の副社長を務めている。


 藤雄は何不自由ない生活を送っていた。彼は都会の喧騒から離れ、山と海に囲まれた長閑な土地に、念願のマイホームを購入した。

 また、藤雄たちは子宝にも恵まれて、美帆みほ雅俊まさとしが誕生した。お隣さんの幸作こうさく夫婦とも良好な関係である。

 

 藤雄は<CB>退職後に独立して、ゲーム制作の専門学校を創設・開校した。

 藤雄は才能あるゲーム開発者を生み出すために尽力した。ゲーム好きなら年齢や経歴は問わず、夢を諦めた者も無事に卒業すれば、<CB>のような大手ゲーム会社に就職できる手筈だ。彼の学校は入学希望者が殺到して、成功を収めるのだが、その一方で水帆は…

 

 水帆は子育てが落ち着くと、ある計画を実行しようと動いた。彼女は起業して、リサイクル用品を扱う事業を運営し始めた。

 水帆は単に商品を売買するだけでなく、買い取ったブランド品をレンタル用品にして、利用客に喜んでもらえる企画を考えていった。彼女の策略ビジネスは失敗することなく高評価を得て、店舗数が増えていくのであった。


 藤雄たちは理想を実現させて、人生の成功者となったが、その一方で、彼らを結び付けたは…


「やれやれ…一件落着かな」

 ザゼルは藤雄が幸せになったことを確認して、その場から姿を消した。


転生g@me 最終章 完

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