最終章 第2話ー1

転生g@me

最終章(LAST-STAGE) 最後の契約


2.告白コール


 理想の人生ひとを手に入れるために藤雄がザゼルに連れてこられた場所は…


「…ここって、まさか…」

 藤雄は現在いる場所をよく知っていた。彼は、学生時代の頃の記憶を解き放っていた。

「どうだ、懐かしいだろ?」

「ああ…大学生の時、この部屋マンションに住んでいた…!?」

 その時、藤雄は部屋に置かれた壁掛けの鏡に自分の姿が映り込み、思わず仰天していた。

「そんな幽霊を見たような顔するなよ~」

「何の冗談だ?ちゃんと説明しろ!」

 藤雄が驚くのも無理はなく、現在の彼は大学生時代の容姿すがたであった。


「詳しく話すと、長くなるから手短に話すぞ…ここは幻想つくった世界じゃない」

「はあ?現実の世界だと言いたいのか?」

「ああ、俺に不可能なことはないさ」

「それで…これから僕はどうなる?」

 藤雄はザゼルに散々振り回されて、呆れ顔で彼の話を聞いていた。


「これからが訪ねてくる、君一人で対処するんだ」

「お前は何もしないのか?」

「ああ、俺の役目はこれで終わりだ、もう会うことはないだろう」

「唐突だな…何かアドバイスしてくれよ」

「いちいち頼るな、自分の力で攻略するんだ」

「無理だ、何かヒントは?」

「仕方ないな、何事もケースバイケースで対応しろ、誤った行動を取っても後悔することが許されない、では幸運を祈る」

「お…おい!」

 ザゼルは厳しい言葉を言い放ち、そのまま藤雄と別れた。そして…


「♪~」

 独りになった藤雄は、突然の呼び鈴で動揺していた。彼は恐る恐る訪問者を確認するが…


「え…!」

 藤雄は扉穴ドアアイで訪問者を確認した。彼の住居室の前に立っているのは、大学生の水帆みずほであった。

「どうしたの?変な顔して…」

「いや…ちょっと風邪気味で体調が悪いんだ…」

 藤雄は過去の記憶に触れて、鮮明に思い出そうとした。彼にとって、忘れられない日だと気づくのだが…


「…それでどうすんの?行くの?行かないの?」

「え…ああ、卒業旅行のことだろ?スキーだったかな?」

「そうよ、あんたのせいで計画が立てられないのよ、早く決めてよ」

「そのことなんだけど…」

 藤雄は過ちを犯さないため、慎重に言葉を選んだ。彼は水帆の運命を知り尽くしており、大事な人を失う結末になっている。ザゼルの言っていた対処はこのことだった。


「どうしたの?真面目な顔して…らしくないわね」

「…騙されたつもりで聞いてほしい、卒業旅行は行かない方が良いぞ」

「何言ってんの?ふざけるのもいい加減にして!」

「まあ聞けよ、を見たんだ、お前は海外スイスの雪山で遭難して、雪崩に巻き込まれて死んでしまうんだ」

「何が予知夢よ、馬鹿馬鹿しい、もう誘わないわよ」

 水帆は徐々に不機嫌になっていくが、藤雄は諦めずに自分の意見を通そうとした。


「今まで迷惑をかけてきたことは謝るよ、だから、今回ばかりは僕の言う通りにしてくれ」

「ちょっと…どうしたのよ?」

 水帆は藤雄の豹変ぶりに驚愕していた。藤雄の熱弁はさらに続く。


 藤雄は幼少期から水帆と過ごした日々のことを語っていった。

 ある時、藤雄は近所の悪ガキにゲームソフトを取られてしまい、泣きじゃくっていた。そこに水帆が登場して、彼女は悪ガキにきつく注意して、奪われた藤雄のゲームソフトを取り戻した。

 藤雄が水帆に助けられたエピソードは数え切れないほどある。

 藤雄にとって、幼馴染の水帆は親友であり、頼れる姉貴のような存在だった。今回の一連のできことをきっかけに、藤雄は水帆に感謝して、素直な気持ちを伝えた。


「僕はゲームしか取り柄がない、どうしようもない男だ、お前が…いなかったらどうなっていたか…だから…失いたくないから助けたいんだよ!」

 藤雄は土下座の状態で声を張り、自分の思いを水帆にぶつけた。

「…どんどん本題からズレてるけど、まさか告白?」

「いや…求婚プロポーズだ、大学を卒業したら…僕と結婚してほしい」

 水帆は藤雄のプロポーズを耳にして、心が揺らいでいった。彼女の顔は赤面していき…

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