最終章 第1話ー2

転生g@me

最終章(LAST-STAGE) 最後の契約


1.裏技トリック


「僕をここに連れてきた理由は?」

「この空間に行ける者は限られている、君は特別扱いだ」

「光栄だね、ここで人類の歴史が覗き見できるのか?」

「ああ、膨大な量を処理している、文明・歴史の表と裏、歴史的事件、君たちの人生などね…」

「成程、規模が大きい映像配信コンテンツみたいだな」

 藤雄は今まで奇想天外な体験を味わっているため、大して驚愕しなかった。むしろ興味があるようだ。


「その通り、実はを任されてね…ここの管理システムの整理だ」

「整理?」

「あまりにも情報容量が多くてパンク寸前でね、必要ない歴史の分岐点を消去・修正作業を行っているんだ」

「そんなことが可能なのか?ゲームの障害バグを直すみたいに…」

「地道な作業は苦手なんだが…気が遠くなる」

「作業は進んでいるのか?」

「難航している、さっきの戦争のような世界を巻き込んだ出来事の更新は難しい…そこでだ、人類の歴史に影響を与えた者を除いて、人の人生から改革を試みた」

「???」

 藤雄はザゼルの話について行けそうになかった。


「いつか話したと思うが、人間は睡眠時間以外、常に選択して生きている、個人によって回数は違うが、君が天寿を全うした場合…死ぬまで96768000回、物事を選択していることになる…さらに、人生の分岐点は1000以上あるんだ」

「何でもお見通しだな、結局、僕をどうしたいんだ?」

「人生の選択を誤らないよう導くのが俺の役目だ、その前に資格があるかどうか試すためにを与えた」

「課題?」

「幼馴染との結婚生活…これまでの異世界での日々だ、君は慣れない環境で苦難を乗り越えようとした、努力が認められたんだ」

「それでこの不思議な場所に連れてきたわけか」

「君はで100万人目に選ばれた、ただし、ここはゴールじゃない、この先に行かず、リタイアした者も少なくない」

「そんなに難解なのか?」

「課題を達成すれば、その者の人格は問わない、見込みがあれば悪人でも案内するのさ」

「そんなの良いのか?」

「君たちの世界は得する者、損する者で成り立っている、皮肉にも、血塗られた争いで歴史は築かれていくのだから…特に問題はない」

「僕は合格のようだが、この先はどうなるんだ?」

 藤雄は納得いかないことを口に出さず、ザゼルに問いただした。


「ここからが本当の最終ステージだ、自信はあるか?」

「え…よく分からんが…もう始まるのか?」

「そう緊張するな、もう少し付き合ってもらうぞ」

「断る権利は?」

「あるが、解約手続きは厄介だぞ、元の世界に戻れるのは何時いつになるか」

 藤雄は重大な決断を迫られて、独り苦悩していた。そして…


「これで最後なら挑戦してみるよ」

「承知した、ついてきてくれ」

「もし、クリアしたら、僕はどうなる?」

「無事に日常生活に戻る、我々と干渉することはないだろう」

「もし、クリアできなかったら…?」

「特にクリアした時と変わりない」

「それはどういう意味だ」

「神のみぞ知る、だ…俺は神の遣いじゃないんでね…」

 ザゼルは意味深で曖昧な返答をして、藤雄をある場所に連れて行った。ついに、藤雄は未知なる世界の最終章に突入した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る