第1章 第2話-1
転生g@me
第1章(STAGE1) 運命の悪戯
2.
藤雄は秘書と共に、交渉相手のオフィスビルを訪ねていた。彼の交渉対象は、VR(仮想現実)技術を専門にした発展途上のIT企業だった。
社名は<Virtual Entertainment Reality Square 通称VERS(ヴァース)>
代表を務める人物は
「お待ちしておりました、わざわざすみません…」
「いえいえ、地球上なら何処でも駆けつけますよ」
藤雄は軽く冗談を言って、崇文に歩み寄った。双方はすぐ意気投合して、本題に入るのであった。
「…御社の評判は聞きますよ、VR業界は景気が良いみたいですね」
「人気企業ですからね、ようやく軌道に乗りまして…」
「どうして、うちと業務提携を?」
「ゲームが好きなもんで…御社のコンテンツユーザーなんですよ」
「そうだったんですか!」
双方は好印象で、交渉の場は盛り上がった。
世はデジタルコンテンツ革命時代。関連事業は絶頂期を迎えようとしていた。宇宙事業が経済効果を生む一方で、ネット経由を利用した次世代ビジネスが活気づいており…
〝メタバース〟は、現実世界と異なる仮想空間を取り入れた体感サービス事業で、IT系、ゲーム会社、その他各企業が続々と参入、メタバースは社会現象となり、自然と人間社会に定着していった。
藤雄の企業<CB>は、現実に近い世界を舞台にしたオンラインゲーム『リアル×ファンタジア』を開発、当ゲームはメタバースのシステム導入により、たちまちヒットした。
『リア×ファン』の世界に存在する住人はゲームユーザーで、現実世界のように人生を歩むことができる。
家族に育まれて、学校に行き、職に就き、結婚して子を授かる、その他、失恋、借金、離婚、老後とリアルな体験が味わえる。ゲームユーザー同士が共有して
ただ、ゲームだけあって、時折、
何故か、ゲームユーザーが操る住人は超人的な力が備わっており、魔法なども使える。一種の
その後、藤雄の企業は新たな企画に乗り出そうとする。
若い世代に昔のゲームコンテンツを楽しんでもらおうと、藤雄率いるチームは動いた。藤雄の世代が夢中になってプレイしたゲーム、膨大な数だが、苦労の末、著作使用権を獲得して〝
なお、先ほど紹介した<CB>のオンラインゲーム『リア×ファン』をプレイすれば、ユーザーにポイントが発生していき、溜まったポイントで、好きなオールドゲームの有料コンテンツが購入できるという仕組みだ。
一方、崇文の企業<VERS>は、普及したVRを用いたショッピングサイトを運営しており、利用者は増加の一途を辿っている。
VR環境があれば、わざわざ足を運ばなくてもリアルな買い物が体験できる。
買い物する場所は
そして、ユーザーが商品を購入すると、宅配用の無人航空機・車両が配送業務を行う。
<VERS>公式サイトに会員登録すれば、専用の電子マネーカード(もしくはアプリ)が作成されて、割引ポイントも付く。
また、会員登録者は<VERS>の加盟店を利用することが可能で、飲食店、旅行、娯楽施設などでサービスが受けられる。
<VERS>は映像配信業界にも参入している。ドラマ・バラエティ・アニメなど、テレビ全盛期の懐かしい名作番組などを随時配信する事業、コンテンツ〝アーカイブ〟は人気好調であった。
また、旅行業界と提携して、世界中の観光名所、宇宙の絶景などをVR映像で観ることができる。メタバース、3D、VR設備が整っていない一般家庭でも、リース契約すれば視聴が可能に。
<VERS>は、
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