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「・・・キララ、それは本当?」

「うん、今は無いけど遭遇する前に少しだけ気配がしたの。」


少女は手を顎にやりながら何かを考え込んでいる。


「・・・あなたは、本当に星鍵を持っていますか?」


そして少女は剣を鞘から少しばかり抜き、そう質問してきた。


「・・・はい。」

「そうですか、ついてきてください。」


私は少女に言われるがままにするしかなかった。


◇◇◇


「・・・それで、そのまま刑務所にでも連れていかれる。かと思っていたけど、何ここ。」


着いた場所は私の予想していた陰鬱な雰囲気の場所ではなく、綺麗な装飾が施された扉の前であった。

そして私はその扉の前で何故か待機を言い渡されいる。


「もうかれこれ待って10分なんだけど・・・」


しかし前の扉は一向に開く気配すら見せない。


「・・・もういっその事自分から開こうかな。」


そう考えていると、


ギィ


目の前の扉は重々しい音を奏でながら動き始めた。


・・・入ってこいってことだよね。


少しばかりの不安を胸に、その中へと足を運んだ。


◇◇◇


「・・・また子供?」


私の目の前にいるのは小柄だがとても威圧感のある赤髪の少女だった。


「異邦の者よ、初対面にしては大層な言い口だな。それとこれは私のせいではない、シュアのせいだ!」

「あ、はい。」


・・・なんかこれ少し前にもやった気がする。


「まあいい。」


少女は少々呆れながらも話を進め始めた。


「星鍵を持つ者が自らこの地に来ることは珍しいからな、歓迎でもしようと思っていたが・・・考えが変わった。1つ、私の質問に答えてくれないか?」

「別にいいよ。」


「貴方は、"先生"か?」

「!」

「その顔、当たりのようだ。」

「・・・よく知ってるね。」

「とある世界で先生のことを聞いてな。」


「リル、確認は取れた警戒を解け。これ以上は失礼になる。」

「はい。」


どうやらあの銀髪の少女がここにいる理由は私に対しての警戒だったらしい。おそらく私が星鍵を使う犯罪者だった場合即座に殺せるようにだろう。


「自己紹介がまだだったな。私はルア、リバルの学園長だ。そしてこいつがリル、こっちがキララだ。」

「リルです。」

「キララだよ!」


「・・・」

「そんな顔をしてどうした?」

「えーと・・・そもそもリバルってなに?」


「リル・・・」


リルは何故か顔をルアさんから背けている。


「・・・はあ。先生、天久は知っているだろう。」

「うん。」


突如として現れた謎の生命体、天久。目的も素性も一切が分からない異形の化け物達。


「奴らと戦っている組織、それがリバルだと覚えておいてくれ。」

「・・・」

「何か分からなかったか?」

「・・・リバルのことはあの説明で十分分かったけど、どうしてこの学園は調律者が多いんだろうって思って。ほら、1世界で調律に選ばれて星鍵を手に入れる人は数人しかいないでしょ。」


「先生は天久がどこから来ているか知っているか?」

「それはもちろん、別世界から・・・あ。」

「そう、リバルは天久と同じで様々な世界に干渉する技術を持っている。だからそれを使い他世界と協力関係を結び調律者を集め育てている。そんなかんじだ。」

「なるほど・・・」


「説明もこのくらいでいいだろう。」


ほんの僅かだが周りの空気が変わった気がした。恐らくここからが本題なのだろう。


「先生、聞くところ先生は様々な世界で人助けを行っていると聞いたが、それは本当か?」

「一応そうだね。」

「なら、リバルが助けを求めたら先生は助けてくれるか?」

「もちろん。」


短い言葉でそう返す、するとルアさんは視線を下に向け何かを考え込んだ。

そして


「・・・今、リバルは窮地に陥っている。」


1呼吸ため、ルアさんはそう言った。


「・・・それ私に言っても大丈夫な事なの?私が今からリバルを破壊するかもよ。」

「問題ない。先生に戦闘能力がないことは確認済みだ、一応星鍵を手に入れると身体能力等が向上するがそれも脅威にはならないだろう。」

「う、」

「そもそも先生はそんな事する気がないだろう?」

「・・・」


図星に図星、何も言い返すことが出来ない。


・・・ただ無闇にそういうことは言わない方がいいって言いたかっただけなのに。


「話が逸れたな。続きを話していいか?」

「うん。」


「それで」


ビービービー


突如としてあの警告音が鳴る。


「・・・あとは歩きながら話そう。」


第2話:微かな光

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旋律の調律者 退学者 @TigAkusya

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