狐
身体が軽い…機械のような音が響いている…
出来る限り見渡すと同じ見た目をした人形のようなものが整列していた。
そしてその人形は黄色くキツネのような見た目をしている。
大きさも皆同じ大きさのようだった。
その人形と同じように私も整列していた。
流石にもうわかっている。
私はこの黄色いキツネの人形だ。
そう察したとき隣に並んでいた黄色いキツネの人形と目が合った。
ガイ『どうも、よろしくね』
キツネ1『気安く話しかけるなよ』
ガイ『でも私たちは同じ見た目をした人形だ、仲間だろう?』
キツネ1『お前はこの世界をよくわかっていない、私たちは敵だ』
ガイ『なんで?』
キツネ1『あいつらと同じガキのような聞き方をするな、そもそも人形になった時点で最悪なんだよ』
ガイ『へぇ』
キツネ1『あまりにも間抜けだな、無理に考えても無駄だ』
ガイ『なるほどね、ありがとう』
キツネ1『少なくとも馴れ合うつもりはない、馴れ合いがしたいなら他をあたれよ』
隣の人形からそう言われた後
キツネ2『おい、お前ら!来たぞ!』
他のキツネの人形がそう言うと
同じキツネの人形が次々と段ボールの中に入れられていった。
そして私の番がきた。
やや窮屈な段ボールに詰められるとしばらくして段ボールの蓋が閉じた。
―——————————
次に目が覚めたときは子供のおもちゃを売っているであろうところだった。
これはおもちゃの中でもぬいぐるみコーナーだろう。
隣を見るとさっきのキツネの人形がいた。
ガイ『やあ!また会ったな!』
キツネ1『話しかけるなと言っただろう、ここからは私たちの戦いだ』
すると後ろから声がした。
キツネ3『誰が最初に買われるかな?かわいい子がいいな~』
ガイ『買われる?何の話だ?』
キツネ1『お前は本当に勘が鈍いな、これから人間に買われて私たちはそれぞれ買った人間のもとで暮らすのさ』
ガイ『なるほど!楽しみだな』
キツネ1『まあ、たまに買った人間以外のところで暮らすパターンもあるらしいけどな』
ガイ『え?どういうことだ?』
キツネ1『さあ、私も人間の気持ちはわからん』
そんなことを話していると小さな男の子が近づいてきた。
「おとうさん!このきつねのぬいぐるみほしい!」
「お!今日は特別だぞ!」
「やった~!」
小さな男の子が奥のキツネを掴む。
キツネ2『お先~』
キツネ1『ふん、見る目無いな』
ガイ『拗ねんなって』
キツネ1『お前も他人事じゃないからな』
ガイ『え、ジョーク?』
キツネ1『切り裂くぞ』
すると今度は大人の女の人が近づいてきた。
「これ、可愛い、これなら喜んでくれるかな」
女の人が隣のキツネを持ち上げる。
そして何度も締め付ける。
キツネ1『く、くるしい、、』
「これなら入りそう」
キツネ1『嫌だ!こいつは嫌な予感がする!嫌だ!』
隣にいたキツネの叫び声はむなしくも人間には届かない。
「これにしよう」
そう言って隣にいたキツネも買われていった。
キツネ3『あれが自業自得ってやつかな~』
ガイ『どちらかと言えば因果応報じゃないか?』
キツネ3『わかんないよ人間の言葉は』
ガイ『それもそうだな』
—————————————
あれから何時間か過ぎていった。
あの後何体かキツネの人形が買われていったが私たちが買われることは無かった。
キツネ3『余っちゃったね~』
ガイ『これが取り残されるということなんだな』
キツネ3『明日こそはお互い売れようね~』
ガイ『そうだな』
キツネ3『最後まで売れないと怖いからね~』
ガイ『どういうことだ?』
キツネ3『さあ?人間じゃないからわからないよ~』
ガイ『便利だな、その言葉』
そんなことを話しているとおもちゃコーナーの電気が消えた。
真っ暗な中
私は本能からか明日こそは自分が売れることを願った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます