相棒
うるさい…寒い…暗い…身体が重い…
?『よお、ようやく起きたか相棒』
上から何か聞こえてくる。
?『何で黙ってんだよ答えろよ!』
『誰だよあんたは』
?『私は…そうだなマルクだ!お前こそ名前は?』
『わからない、覚えてないし考えたこともない』
マルク『じゃあ私がつけてやるよ!お前はこれからガイだ!』
ガイ『ガイか…分かった、ありがとう』
マルク『ここでは私たちは相棒さ!』
ガイ『なんでだ?』
マルク『ここではみんな相棒がいるんだよ、まあ後でわかるさ』
マルクとはそれ以降特に話さなかった。
まだ聞きたいことはあったが今は何を聞けばいいかわからなかったから。
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意識するとマルク以外にも姿は見えないが話し声がよく聞こえた。
ガシャン
ガシャン
次々と連続して近くで何かが落ちる音が聞こえた。
何か嫌な予感がしたそのときだった―
ガシャン
落ちた衝撃で身体がジーンとした。
大きな手に身体が包まれると同時に光に照らされた。
見渡すと周りには小学1年生くらいの女の子とその女の子の母親らしき人がいた。
そして出来る限り見上げると上にいるマルクを容赦なく掴んだ父親らしき人がいた。
女の子が大切そうにオレンジジュースの入ったペットボトルを持っている。
母親らしき人はミルクティーが入ってそうな缶を持っていた。
私は確認するようにマルクに聞いた。
ガイ『私はなんなんだ?』
マルク『お前はブラックコーヒーの入ったペットボトルだよ』
ガイ『ありがとう』
なるほど。
私はペットボトルでマルクがキャップ
それで相棒か。
おそらく家族であろう3人は車に向かっているようだった。
車の中で何度か父親らしき人が私を掴みコーヒーを飲んだ後
車が止まった。
「ちょっと待ってな」
父親らしき人がそう言うと
ガッと私を掴みマルクを外しコーヒーを一気に飲み込んだ。
そして身体が軽くなった私を掴み車から出ると
マルクを再度外した。
マルク『ガイ、別れが来た、またな』
私は何も言えなかった。
父親らしき人がマルクを軽く投げると
私は顔を剥がされ
身体をぐしゃぐしゃに握り潰された。
父親らしき人はそのまま真っ暗なゴミ箱に
私を捨てた。
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暗闇の中どれくらい時間が経っただろう。
ついに光が当たったときはゴミが回収されるときだった。
私は何か理解し誰にも聞こえることのない声で
『マルク、またな』
と呟いた。
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ゴミ回収業者はぐしゃぐしゃになったペットボトルのしわが微笑んで見えたことを気味が悪く感じながら手際よくペットボトルを工場に持っていき
そしてペットボトルは粉々に砕かれた。
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