第9話「選ばれたのは僕の死」

長い日和の中で

死の瀬戸際に立たされた

もう一度、初めからやり直せるなら

哀れまれる前に自殺するだろう


だが人は過去には行けない

無論そうだ

そうなんだ


だけど未来だけは

僕に構わず襲ってくる

この痛々しいほどに痛烈な現実を

針のむしろを這うように

痛みと血で滲む

陰惨で結託された陰謀説のような

ブラックラグーンに


僕は居る


もう全てに意を決して

黙々と生きればいいかと

着服しようとするが

それさえ、負担を伴う


どうせ死ぬべき人間だと

初めから分かっている

努力なんて無駄

生きても無駄

死んでも、感化されない

到底僕には、何をやっても無価値なんだ


なら無念を抱いたまま

果てればいい

何も求めず、欲せず

無茶苦茶に死ねばいい


それが最も

悩まずに済む時短になる

なら死ぬか


ああ、散々な人生だった

散々なフィナーレだ


でもいっか、

生きたって、何も言えない死人同然だったし

じゃ、逝くか


逝くか・・・

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詩集「不可世ノ最終号」 不可世 @BEST-R-

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