第8話「じゃ、良い一生を」

長い道のりだった

生きてから死ぬまで

きっと多くの出会いと別れを体験した

それでも、悲しいと、私は泣いた

人生が満たされることは

死ぬまで、いいや死んだとしても満たされないのだと思う


人は誰しも心残りを残して死んでいく

でもそれは幸せなことだろう

多くの事柄を果たせなかった

その、空白は、きっと涙という形になって

美しく舞っていくのだと思う


命とは完成形に至れず

終えていくもの

それを知っていれば

無力さも、変わって見えるかもしれない


全てを果たさなくていい

今一番出来ることを

一番しやすいことを

すればいい


だって人の一生で全ては出来ない

だから自分のとっての一番を

あなたの人生で果たせばいい


どう転ぼうと

時間は過ぎる

なら、くよくよするより

笑顔になれる前向きさを持てばいい


人生は途方もないほど

長く見えて

本当は、とても短い

出来ることはもっと少ない


呆然と暇な時間を持て余して、

やることなんてない、

なんて思う日もあるが

その気休めも、あなたの手にした成果であり

決して、無駄なわけではないはずだ


人は生きている

それだけで大義を成している

だって、ご飯を食べる事、日々の足掛かり

そこで汗をかき、挑んでいる

それだけで偉い、よく頑張った証拠だ


安っぽく見える事でも

やれるだけ、経験を積んで

頭は回る


だから無駄なものはない

全ては無になるとしても

無駄ではないのだ


思いをはぐくむこと

生きた今日、未来、過去

全てにあなたは確かに居た

参加していた

それだけで大義だ


じゃ、応援してる。

君の見る世界と、僕の世界、

どちらも、いい終わりを迎えることを

切に願う。


じゃ、良い一生を。

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