第7話「君の愛した世界を捨てる訳ない」

もう戻れないほど

日々は進んでいき

思い出は遠くへ消えていく

もし、死が時間を止めることで

記憶を失わないと言うなら

僕は望んで死ぬだろう


あの日消えた君を追って

死ねなかった僕が

悲しむしかできず無力だった僕が

あまりに憎い


君を知る手がかりを追って

思い出ばかりを見つめて

それでも時間は残酷に前へと駒を進める

かすんでいく写真のように

涙で滲んだ君の遺言書のように


僕も日に日に衰えていき

衰弱した体で君を追う


もうご飯ものどを通らないほど

悲しみだけを蓄え

死ぬ実感がまるで君に会える奇跡に思えて

なぜか高揚する


そして腐っていく僕の心と

君といた日々が交差して

何度も何度も

心が揺らぐ


このまま、死ぬことが

果たして君にとって幸せなのかと

優しい君は、僕の死を悲しむと

そう、君の笑顔がかすめるから


僕はせめて生きている

でも、本当は、君をあの世からこの世に

連れ戻して

またこの地球で思い出を刻みたい


だけどそんな例はどこにもない

だから誰も知らない死後の世界で

会えるのなら


でも、それは真面目な君を傷つけることかもしれない

君が愛した世界とこの僕を

やみくもに捨てるなど、

やはり君は泣くだろうし、振られてしまうかもしれない


だから生きる

生きるよ。


ねぇ、あなたまだ僕を覚えていますか。

必ず会いに行きます。

そして、もう二度と離れないと約束します。


じゃ、元気で。また会いましょう。

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