第3話「青春は傷だらけ」

空虚な地平線を見ている

この先、生きる難しさにまた会うだろう

今日家で安堵しても

明日には、またあの場所へ

そうして募る、やりきれないわだかまり


もうあの時、死んでおけばと

そう後悔して

ただ吸いたくもない息をする


いじめは慢性化したけど

それでも、けなされ続けている

それがピークよりはいいと

そう、達観視してるせいで


死ねないでいる


あの時、泥だらけで

家族さえバカにされて

本当に頭に来た時に


死ねてれば

死ねてればよかったんだ

なのにこうして生きてる

都合よくあてがって生きてる


これこそ本当に最悪だ

大丈夫だと、いい顔して家を出て

学校では女子にさえいじめられる

もう、ほんと、あの時死んでればよかった


死ねれば楽だった

生きるのは長い、でも死は一瞬

ならその一瞬にかけてみたい


だけどもう

そこまで至れないほど

優柔不断な自制心が僕を苦しめる

ほんとに、なんなんだ

この僕が消えれば

いいだけなのに


どうしてこの心は

ナイフを持つたびに

震えるんだ


生きたって見え透いてるだろ

バカにされて、コケにされて

ただ、血を見るだけ

なら、死ねばいいじゃないか


このわからずや

俺のわからずや


もう、死なせてくれよ

もう、痛いんだよ

生きる事が

苦しくて仕方ないんだよ


「ねぇハルト、あなたは傷を知ってる

 そういう人はね強いのよ

 誰よりも強いの

 痛みをわかる人になれるの

 だから死んではいけないわ

 あなたが死を躊躇するのは、あなたが間違えていないからよ

 あなたはもう、気づいてる、大切なのを

 だから、痛みさえもう克服できるはずよ

 痛みはね、本当のことを言われると痛むもの

 無鉄砲な言葉なんて、考えてみれば、へっちゃらなことよ

 だからあなたはそのまま、腰を据えて生きなさい

 大丈夫よ、母さんも、ろくな青春じゃなかったわ

 それでも、お父さんに出会えたのは、私にも魅るところがあったから

 ハルトにも、魅るところはある、素敵な人と出会えるわ

 だから自信を持ちなさい、あなたには母さんがいる、父さんもいる

 だからなんでも頼っていいのよ

 ハルトは一人じゃない、一人じゃないから」


母さん、ありがとう、ありがと、、う。

僕、頑張るよ。

まだ手探りだけど、克服してみる

ちゃんと向き合って話してみる


そして素敵なお母さんみたいになるよ


ありがとうお母さん

本当にありがとう。

じゃ、行ってきます!

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