第14話 訪問

知人の紹介でその人を訪ねたのだけれど留守だった。約束をしてから訪ねるのが礼儀だし、そのほうが行き違いにもならないのはわかっているが約束をしようにも連絡の取りようがないのだ。先方はスマホもPCも持っていないという。


たいていは家にいるから直接行けばいいよ、と知人はいうけれど、いまだに会えないでいる。訪ねたのは今日で5回めだ。


帰宅を待つため近くの喫茶店で時間をつぶす。あたりは暗くなってきた。家路の時刻だ。


もう一度訪ねてみるが家に明かりは灯っていない。今日も会えないらしい。このままずっと会えないのかもしれない。

代わりに知人に連絡をとってみたがつながらない。


また出直そう。

おそらくその時も会えないような気がするけれど、また出直そう。

何度でも、何度でも。


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