夏冬論争

 僕は夏か冬かと聞かれれば夏派だ。


 

 寒いのが嫌いなのだ。寒いといろいろなことが上手くいかないでしょう。


 まず、朝起きられない。これがかなり大きな問題だろう。冬のせいで僕の年平均起床時間はかなり遅くなっているはずだ。


『ピピピッ、ピピピッ…。目覚ましの音でTは目を開ける。


 たった今まで見ていた夢が思い出せず、しかし後味を少し感じる。まだ寝たりないようだ。


 (もう朝か)Tは自分が置かれている状況を確認すると、かなり気が進まないが、一応布団を出ようとして足を出す。


 その瞬間、Tは戦慄する。全身に寒気が走る。自分が無防備な雪山にいると錯覚してしまったのだ。


 無意識に足を布団に戻す。途端に、暖かい幸せがTを包む。しかし、脳は起きなければいけないとわかっている。

 葛藤と焦燥のうちに時間は過ぎる。』


 とまあこれくらいの状況は誰にでも容易に想像できることだろう。


 また、冬はネガティブになる。なんだか知らんけど、夏のような活発な心持ちにはなれず、一抹の郷愁にかられたりしちゃうのだ。それはそれでいいけど、僕はできれば人生前向きに過ごしたい。


 あと、手がかじかむ。耳も痛い。


 「寒いのは着込みまくれば防げるけど、暑いのはいくら脱いでも暑い。」なんてもっともっぽく言う人がいるけど、そんなの大嘘。そんなに着込むことないし、顔とか手とかは出るし。

 それに、寒いより暑いほうがいい。みんな、常夏の南国の島には憧れてもアラスカには行きたくないでしょう。


 

 そりゃ冬だっていいところはある。雪が降ったり、温泉が気持ちよかったり。ご飯とか空気のにおいとか街の雰囲気とかは、冬は冬の良さがある。


 でも夏は、動植物も活発に活動し、太陽は輝き、入道雲よ、ああ青い空、青い海、となってくるのである。


 夏が懐かしい。

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