第9話 私バズってるみたい


投稿遅くなりました。

リアルは忙しいしメモは消えるしで大変でしたが、なんとか書き切りました。

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学校から帰った私は今の流行について知るために、ネットの海に潜り込んでいた。最近疎かにしてたからね。するとこんな記事を見つけた。



-SNSで話題の美少女!!

-茶道部に現れた美少女の正体とは?

-日本一可愛い女子高生現る



この記事を見かけた瞬間、冷や汗がダラダラと流れたが、記事を見るまでわかんないよねということで見てみることにした。


「えーと、この記事は…ある高校の部活動の部員紹介が話題になっている。茶道部に新たに加わった新入部員を紹介するという名目で、投稿されたこの写真は…って私写ってるし。まじか」


案の定私が写っている写真が取り上げられていた。しかもかなり反響があるらしく、多くのコメントが寄せられていた。


[期待の新人すぎる]

[茶道の未来は明るいな!]

[可愛すぎない?これ高校生はやばいでしょ]

[高校入学するとこ間違えた!!!]

[今年から中学3年生です。来年行く高校決めました]


他にもたくさんのコメントがあって盛り上がっていた。


「いや、変なコメント多すぎるでしょ。気持ちはわかるけどさあ…これが自分だとちょっと変な感じだな」


ネット特有のコメントは、見ていて面白いものがあったりして、笑いそうになったけど、全部私に向けたものだと考えたら冷静になった。




どうやら私はバズってしまったらしい。




-翌日-


「白凪葵さん、至急校長室まで来てください」


SHRを終えた後呼び出しを食らった。私なんかやっちゃったかな?もしかして昨日見たあの件が関わってたりするのかな…そうだったら面倒だ。


「あおちーなんかやらかした?」


「やらかしてない…と思う」


「葵さま、送っていきましょうか?」


「大丈夫だよ、ありがとう」


「あ、葵さん頑張ってください」


「うん、行ってくるね」


三者三様に言葉をかけられる。友達随分と沢山できたなぁ、と思いながら校長室に向けて歩いていく。


それにしても怒られたりするのかなぁ、ちょっとドキドキする。もしネットで見た件で怒られるなら、私じゃなくて茶道部に怒りそうだけど。前世を含め校長先生の部屋に行くなんてこと滅多になかったから、緊張するなぁ。


道中すれ違う先生達に挨拶をしている間に校長室の前に着いたので、深く深呼吸をした。

はー、大丈夫。


「失礼します。一年一組の白凪葵です。校長室に用があって来ました」


「おお、白凪さんいらっしゃい。さぁさぁ、こちらへお掛けになってください」


物腰柔らかく接して来たのはこの学校の校長先生である。見た目は若そうに見えるけれど、実際にはもっと年をとっていると、入学式の時言ってた気がする。


「失礼します」


「あぁ、そんなに固くならなくてもいいですよ。今日は怒るために呼び出した訳ではないからね」


普通に優しそうだ。よかった、怒られる心配はないようで安心できた。とりあえず会釈を返しておこう。


「それで、どうして私を呼んだのですか?」


「そうだね。要件は…これなんだけど」


これと言って見せて来たのは、パソコンの画面だ。そこにはSNSに載せられた私の写真が写し出されている。あー、やっぱりか…


「この写真は白凪さんで間違いないよね?」


「はい、間違いないです」


「わかりました。それで私が今日呼び出した理由は分かるかな?」


「はい、私の写真がSNSで流行していることに関係しているのですよね?」


「そうです。一応把握はしているみたいですね」


どうやらちゃんと関係しているようだ。だけれど流行したことでわざわざ呼び出すものなんだろうか。んーこれからも精進しなさいとか?あとは気をつけて下さいだろうか。


軽く思考していると校長先生が続きを話し始めた。


「実はこの件で数々のテレビ局が学校に電話を寄越しましてね、ぜひ白凪さんにインタビューをしたいとのことで」


…ん?テレビ局?

SNSでバズったのは知ってたけどテレビ局が来るほどのものなんだろうか。


「学校側としては学校のPRになるため、インタビューを是非受けてほしいんですが、これは白凪さんの意志を尊重しなければと思いましてね。もちろん強制はしませんよ。テレビに映りたくないという理由でも私はテレビ局を断りますから」


校長先生は私の意思を尊重してくれるみたいだ。良い先生でよかったよ。


私が学校のためにPRに出ることはもちろん良いが正直テレビに映ることのデメリットもたくさんある。たとえば私の学校生活に支障が出る可能性があること。私のギャル像のイメージを壊しかねないこと。二つ目が特に怖いね。私はギャルになるためにこの高校にはいったんだから。


だがメリットもある。

学校宣伝できることもあるけどそれはついででしかない。本題は私のこれから始める予定のファッションモデルの宣伝になる可能性があるからだ。テレビに映させて貰えば私を知ってもらうことができるし、これからモデルやるんですーっといえば注目はしてもらえるだろう。


目立つことに変わりはない。取材を受けなくても十分多くの人に知ってもらえてるみたいだから。…なら受けても変わんないよね?



こういう時好奇心旺盛で楽しそうなことにすぐ首を突っ込みたがる葵であった。



「私はインタビューを受けてもいいと思っています。学校の宣伝にもなりますからね」


「わかりました。ですが沢山の取材は大変ですから、こちらで局は厳選させていただきますね」


「はい、それで構いません」


「わかりました。今日は来てくれてありがとうございました。取材の日程はまた後々担任を通してお伝えします」


「わかりました」


失礼しましたと言って部屋を後にする彼女の背中を眺めながら、部屋に残った校長が嘆息をもらす。


「ふぅ…今時の若者はすごいねぇ。彼女は特に存在感がすごい。SNSに流行してしまうのも納得というものだね。…ここからは私たち大人の出番だ。学校のためではあるが、生徒を守るのも私たち教師の出番だからね」


腕を捲った校長は本気を出した。




⭐︎




「あおちーおかえりー!どーだった?」


教室に戻るとえりが迎えてくれた。ゆらちゃんによると私がいなくてソワソワしていたらしい。犬ですか?


「ただいま、なんかテレビ局が私にインタビューしたいみたい」


「え?!大出世じゃん?!どうゆうこと?」


「えっとカクカクシカジカで…」


私は事の経緯を話した。

すると耳を立てていたクラスの人たちが近くに寄って来た。なになにどうしたの?


「白凪さんテレビ出ちゃうの?」「世間がやっと気づいたみたいだね」「俺たちだけの白凪さんが世間に認知されてしまう…」


みんな一気にしゃべって来てびっくりした。それに私は聖徳太子じゃないので、1人づつしか話せませんよ。


「わーわーみんな落ち着いて、あおちーがびっくりしちゃうからさぁ、1人づつにしてねー」


アワアワしているとえりが仲介してくれた。正直どうしようか困ってたから助かる。さすが私の親友だぜ。


「ありがとう、えり」


「大丈夫だよ…あおちーも言いたい事があったら声に出すんだよ?わかった?」


「うん、わかった。えり好きだよ」


声に出してって言ったのそっちだからね。


「へ?」


「友達としてね」


「そ、そうだよねー…友達としてだよねぇ…」


なんか最後の方小声で聞き取りづらかったけどえり顔真っ赤っかだよ。まぁ、今回は私が少しイタズラをしたんだけどね。大成功かなー?


「えと、みんな大丈夫?」


だけど周り見たら、なんか胸を押さえてみんな倒れちゃった。ほんとに大丈夫?


「ゆらちゃんこれどういうこと?」


「……」


「反応がない、ただの屍のようだ…っておーい」


あの後チャイムが鳴るとみんな普通に席に戻っていった。あれは一体なんだったんだ…いまの流行りなのか?ちょっと調べてみよ…


検索:チャイムなるまで静止




⭐︎




昨日の休み時間のことは気になるけど、とりあえず私のクラスで起きた流行りということにしておいた。今度は私も混ぜてもらおう。


ってことで今は今日の校外学習の準備をしている。お弁当作りをね、やっております。いつもより早めに起きたからまだ体が眠いけど、お弁当作りに気合いを入れてるのでがんばってます。ちなみにお弁当はえりに渡す用。


昨日の帰りに言われたんだよね。明日お弁当交換しよーって。私はこのイベント本当にあるんだ?!と思ってたからノリノリで受けたよ。その後めちゃくちゃおかず注文されたんだけどね。こういうのって何入ってるかワクワクじゃないの?


「唐揚げと卵焼き入れて、タコさんウインナーっと。野菜が全然ない…ブロッコリーくらいは入れておくか」


彩りが完全に体育会系のお弁当みたいになっちゃったけど、とりあえず詰めることができた。

うん、本当に食べたいものしか選んでないね。


「でもこれはこれで美味しそうだな」


前世の食生活はこんな感じだったから、普通に美味しそうだ。カロリーとか気にするようになってからは、目を光らせるようになったんだけど。


「ふわぁー、おはようあおい。朝早くからお弁当作りなんて偉いねぇ。匂いに釣られて起きて来ちゃった」


「おはようお母さん」


匂いに釣られて起きて来たお母さんは私のところまで歩いて来た。これどうよ?


「うんうん、いい出来じゃない?とても美味しそう。そういえば交換するんだったっけ?」


「うん、友達にお弁当交換しよって誘われたから。これはリクエストを全部詰めてるんだ。野菜は私の後付けだけど」


確かにご飯に合うおかずしかないねぇといって微笑むお母さん。だよね、ブロッコリーいれてよかったかも。


「その子はこの間うちまで来てくれた子?」


「うん、そうだよ」


「私が言うのも変だけどその子が羨ましいなぁ。こんなに可愛いうちの娘がお弁当作ってくれるんだもん」


「それなら私がうちで振る舞ってみようか?」


「でもいつも手伝ってもらってるしな…それなら今度私とお父さんのお弁当作ってほしいかなぁ」


「わかったよ。その時はまた私に言ってね。あ、それならお父さんには内緒にしとこう」


「いいねぇ、お父さん泣いて喜ぶかもよ?多分職場で自慢はするなぁ、絶対。私もするし」


「ふふっ、ほどほどにね」


それにしてもうちの親は変わんないなぁ、もちろん娘に甘くなったってところは変わったかもだけど。話してて面白いんだよなぁ、波長が合うと言うか娘だからなのか。遺伝かねぇ…


この後お父さんも匂いに釣られて起きたので、朝ごはんをとりあえず振る舞っておいた。今日は朝から元気100%になったとか言って、頭をグリグリ撫でられた。髪がぐちゃぐちゃになるから撫でるなら優しくしてね。


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