第4.5話 イケメンから見た葵

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みんなこんにちは。

僕の名前は渡辺 凛だよ。

よろしくね。


訳あってこの学校に入学してきたんだけど、うまくやっていけそうだよ。僕は人と話したりするのが好きだから、いろんな人に声をかけたりちょっとお節介を焼きすぎちゃう節があるんだよね。おかげで中学では同じ男子達から目の敵にされちゃってね。それで誰もいないところでやり直したくてこの学校にきたんだ。


僕は新しい環境にとてもワクワクしていた。

僕のクラスの人はどんな人なんだろうとか、みんなと仲良くなるためにどうしようかとか考えるのが楽しいから。

だから僕は色んな生徒を観察していた。

それでね一際目立っている生徒がいたんだ。

彼女の名前は白凪葵さん。きれいな白髪を靡かせて、清楚という言葉が一番似合うと言っても過言ではないかもしれない。

それにとてもかわいいんだよね。

僕は生まれて初めてこんなに可愛い人を見たかもしれない。


彼女は入学式の時にスピーチを行っていたが、あの笑顔はいまでも思い出すことがある。目的は違うのだけどこの学校に来てよかったとつい思ってしまったよ。それに彼女と仲良くなりたいと思ったんだ。


そんな彼女は隣の席の佐藤さんと話している。

今は自己紹介が終わってホームルームが始まる前だ。僕も席を立とうとして、もう一度座り直した。なんだか今は話しかけない方がいい気がしたからだ。なので近くにいた人に話しかけることにした。


「こんにちは。今日からよろしくね…って大丈夫?!」


彼は鼻から血を流していた。


⭐︎

 


放課後になるまでに僕は色んな人に話しかけた。みんなとてもいい人が多くて、改めてこの学校に来てよかったと思う。

だけどいまだに白凪さんと話せないでいた。

いや、話しかけに行くことはできるんだけど、なんだか緊張してしまうのだ。いままでこんな経験なかったんだけどな。


「えり、約束してたカフェにいこう」


「あおちーはしゃぎすぎー」


白凪さんのことを考えているとそんな声が聞こえてきた。うん、これなら今日は話しかけるの無理そうだね。まぁ焦らなくても明日あるし、みんなの連絡先も聞くつもりだからその時でいいかな。


「みんな、また明日ね」


ばいばーいと手を振り返してくるクラスメイト達を見ながら教室を後にする。



⭐︎



次の日になり僕は少し困惑していた。

それは係決めの時だ。


昨日白凪さんは全校生徒の前でスピーチをやっていた。惹かれるのは容姿だけでなくスピーチ力も凄かった。一言一句に重みを感じるハキハキとした喋り方はまさに、並の高校生ではないと思わせるものだった。なので自ずと学級委員長をやるものだと思っていた。だけれど白凪さんは手を挙げるそぶりを一切見せない。どうしてだろう。彼女のスピーチ力はこのクラスを引っ張っていく大きな力になると思うのに。


だから僕がやることにした。他に挙げる人もいなかったし、中学でも経験してるからね。それに副学級委員もあるはずだから僕が彼女を推薦すればいいか。あとは彼女のやる気次第かな。


「みんなよろしくね!」


と僕は教壇に立って言った。

とりあえず僕が進行を進めようか。


「それではこれから僕が進行してもいいですか?宮島先生」


「はい、それではお願いしますね。まずは副委員長から決めてください」


僕は白凪さんに目を合わせる。改めてみると本当に可愛い人だなーと思いながら話しかける。


「それなら、僕は白凪葵さんにぜひやってもらいたいかな」


「私ですか?」


彼女は予想していたと言うような感情で声を出す。その隣で笑いを抑えている佐藤さんが見える。なんで笑っているんだろう。

それより用意しておいた答えを話していく。


「うん。白凪さんは成績優秀なことはみんな入学式で知ったと思う。だからこそ学級委員長を選ぶかなと思ったけれど、挙手しなかった。だから僕は白凪さんに補佐をやってほしい。」


「みんなどうかな?」


うんいいよーとかぜひやってほしいと聞こえてくる。作戦はうまくいったかな。白凪さん個人に問いかけてしまうと、選択の余地が与えられてしまう。だけれどみんなの意見を聞くことによって、自然にクラスで白凪さんを推薦することになる。そうすると拒否しづらくなる。

ちょっと無理矢理やらせることになっちゃうけど僕たちクラスには必要なことだからね。


「それじゃあ白凪さん、副学級委員を任せてもいい?」


「わかりました」


内心ごめんねとか思いつつも副学級委員になってくれたことにホッとする。




それからクラスの係決めが進んで行った。僕が係一覧を紹介していってやりたい人を当てていく。後ろでは白凪さんが黒板に板書してくれている。


「はーい、わたし体育委員やりたいでーす」


体育委員やりたい人と声を出すと真っ先に、佐藤さんが声を挙げた。佐藤さんは昨日の自己紹介でもそうだったが、声がよく通る。先生に絡んでいたことから僕の印象としてはギャルだと思っている。

…そう考えると、白凪さんは佐藤さんと初日から話していたけど仲がいいのかな?正直なところ性格は真反対のように思えてしまう。いや仲良くなるのに性格とかないか。


「わかった。それじゃあ佐藤さんお願いするね」


よし、これで大体決まったかな。白凪さんが板書しながら作ってくれた一覧にびっしりと名前が埋まったのを確認する。

ん?こんな紙あったっけ?

どうやらいつの間にか一覧表を作ってくれていたらしい。こういったことも優秀なんだな。


「白凪さんありがとう。宮島先生、係決まりました。それと一覧を白凪さんが作ってくれたので、こちらをどうぞ」


「ありがとう。それじゃあそろそろチャイムがなるので席に戻ってください」


僕は席に戻る。そうだ白凪さんと佐藤さんの連絡先このあともらいに行こうかな。


キーンコーンカーンコーン


「起立、気をつけ、礼」


新たに決まった号令係が礼をかける。

そうすると教室が賑やかになっていく。

白凪さんは黒板を消しに行ったみたいだ。

僕も手伝いに行くか。


「白凪さん手伝うよ」


「ありがとう」


そういうと淡々とこなしていく。この人はなんというか口数が少ない気がする。必要最低限だけの会話をして一緒に消していく。


「こっち側は僕がやっておくから先戻ってていいよ」


「ほんと?お願いね」


そう言って席に戻っていく白凪さん。

僕も早く丁寧に消していく。

何回も言うが僕は初めてあんなに可愛い人を見たと思う。それに話せていることに僕は少なからず嬉しく思っていた。僕はいろんな女の子とも仲良くなってきたけど、これほど気になる相手ができたのは初めてでどうすればいいかわかっていない。

連絡先聞かないとなと思っていると、後ろから声が聞こえてくる。


「えりちょっとごめんね」


「えっちょっなにっ」


「熱は…ないね。大丈夫えり?赤くなってるけど」


「だいじょばないかも…」


「保健室連れていく?」


「いやそれは大丈夫だよ。むしろ元気だから。だから一旦離れてー!」


うん、割り込む隙がないかもしれない。

僕は初めての感覚に戸惑った。




それから僕はこの2人に話しかけていた。

さっきの件は一旦落ち着いたようで、話しかけても良さそうな雰囲気が出ていたので行ってみることにした。


「えっとごめんね今大丈夫?」


「大丈夫だよ。どうしたの?」


「うん、実は皆んなでクラスチャットを作ろうと思ってて、白凪さんと佐藤さんの連絡先まだ知らないから交換してほしいなって」


「そっかー いいよー」


とスマホを見せてくる佐藤さん。それに次いで白凪さんも見せてくる。


「ありがとう。それと白凪さん学級委員のことで相談とかしたいから個人でも連絡していいかな?」


「うん、いいよ」


よし。2人の連絡先も交換できたし白凪さんと話す機会ができた。あとで推薦したこと謝っておこう。

あと、なにやら先ほどから周りの視線が痛い。あ、佐藤さんも鋭くなった。ちょっと怖いからこの辺で退散しよう。


「ありがとう。それじゃあ僕は他の人のも聞いてくるから」


動揺してるのをバレないようにしながらそう言って離れる。ふぅ、緊張した。さっきの視線はなんだったんだろう。


「渡辺くんやるねー」


と言ってきたのは同じクラスメイトの女子3人組だ。


「そうかな?僕はみんなの連絡先が知りたいから回ってるんだ。みんなのも貰っていい?」


「うん、いいよ。あそこの2人はなんというか神聖な空気が流れてるから眺めるだけでいいと言うか。そこに入れるのは勇気あるなーって思っただけだよ。」


「そうだね、片や女神様、片やギャルって感じがいいよね」


「気をつけてね。百合の間に挟まる男はなんとかとかいうから」


そんなのがあるんだ。これから気をつけよう。

とりあえず今日のことは謝っておこうかな。


-LOIN-


連絡先 あおい


[凛]よろしく。今日は突然推薦しちゃってごめんね。どうしてもやってほしくて。


[葵]よろしく。大丈夫だよ


[凛]そっか。ありがとう!

それと挟まっちゃってごめんね!


[葵]よくわかんないけどわかった

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