第4話 イケメンより百合


    今回甘々に仕上げております。 ___________________________________________


「それじゃあ白凪さん、副学級委員を任せてもいい?」


「わかりました」


どうしてこうなった…




時は遡り、私は朝学校に登校していた。昨日通った道をひたすら辿っている。


「あおちー! おはよー!」


えりが手を振りながらこちらに向かってくる。どうやらここは昨日えりと帰りに別れた場所のようだ。


「おはよう、えり」


グハッと擬音を出しながら私の隣に並ぶ。いや、なんの音?


「時間同じなんだね」


「うん!起きるの大変だけど今日もこの時間に起きたよー。それよりここにいたらあおちー来るかなーって思って、待ってたんだ」


「そうなんだ、待っててくれてありがとう。

それなら明日からも一緒に行く?」


え?いいの?!っと顔を輝かせてこちらを見つめるえり。かわいいなぁ。


「ふふっ、かわいいねえり」


素直に思ったことを伝える。するとみるみる顔が赤くなっていく。ちょっと刺激が強かったかな?


「ッッ、ずるいよあおちー」




それから私とえりは2人で歩きながら話していた。


「そういえば今日は係決めと部活動紹介があるみたいだよ。あおちーは何するか決めた?」


係決めと部活動紹介か。これはまたもやチャンスなのでは?ギャルは部活とか係めんどくさーいみたいな感じで簡単なものを選ぶはず。(偏見)これはえりにどうするか聞いてみるか。


「私は特に決めてないかな。でも大変な部活とか係はちょっと遠慮したいかも。えりは決めてるの?」


「そっかー。わたしはね運動するのが好きだから、運動部関連かなー。係はあおちーと同意見かも」


結構意外である。ギャルって部活とかしっかりやるんだ。やっぱりえりはいい子なんだろう


「それなら今日の部活動紹介楽しみだね。それに係も何があるのか気になる」


「多分だけどあおちーは学級委員とかに推薦されそうだけど…」


いやいや、そんなまさか

 



冒頭に戻る。

係はたくさんあったのだが先に学級委員長と副学級委員を決めるらしい。私はもちろん手を挙げるつもりはない。


「まず最初に学級委員長やりたい人いますか」


いますかーと周りを見渡す宮島先生。

すると1人の生徒が手を挙げた。うむ、彼は確か渡辺 凛(わたなべ りん)だったか。

彼の特徴はイケメンである。甘いフェイスに、善人を絵に描いたような話し方で初日から多くの人が集まっていた。リーダーシップがあるのだろう。


「みんなよろしくね!」


気前のいい笑顔でよろしくと言いながら教壇の前に立つ。


「それではこれから僕が進行してもいいですか?宮島先生」


「はい、それではお願いしますね。まずは副委員長から決めてください」


と先生が言うとイケメン君こと渡辺君がこっちを見ているではないか。いや、やめてください


隣ではうわーやっぱりあおちー選ばれそうーと呟いている。助けてくれ


「それなら、僕は白凪葵さんにぜひやってもらいたいかな」


「私ですか?」


「うん。白凪さんは成績優秀なことはみんな入学式で知ったと思う。だからこそ学級委員長を選ぶかなと思ったけれど、挙手しなかった。だから僕は白凪さんに補佐をやってほしい。」


みんなどうかな、と尋ねる渡辺くん。

いや尋ねたら私の拒否権なくなりませんか?

どうしようこのままだと私の計画が…


その計画とは裏腹に周りの生徒たちはいいよーとかぜひやってほしいとかかわいいとか賛同の声が聞こえてくる。

ん、なんか変なの聞こえたな


「それじゃあ白凪さん、副学級委員を任せてもいい?」


「わかりました」


これ拒否権ないやつだね。

はい、副学級委員のギャル誕生ってね。

どうしてなんだよぉ…



キーンコーンカーンコーン

黒板を消して席に戻る。

副学級委員に選ばれてから教壇の上で係決めを板書していたからだ。


「あおちーおつかれー。まさかほんとに選ばれるとはねー」


と、えりが笑いながら話しかけてくる。


「私もやるつもりはなかったんだけど周りの意見があると断りづらくて」


「あーね、まぁあおちー優等生代表みたいなところあるから」


ニコニコしながらジロジロ見てくる。目を合わせにいくと少しそらされた。よく見ると頬とか耳とか少し赤くなっている。どうしたんだろ。はっ、もしかして熱でもあるかな?


「えりちょっとごめんね」


「えっちょっなにっ」


えりの髪を少し上げて私の額をくっつける。顔が数センチの距離である。でも致し方ない、熱があったら大変だから。


「熱は…ないね。大丈夫えり?赤くなってるけど」


「だいじょばないかも…」


と言いヘナヘナになったえり。これはやばいかも…


「保健室連れていく?」


「いやそれは大丈夫だよ。むしろ元気だから。だから一旦離れてー!(これ無自覚だー!)」


その様子をほのぼのと眺めている教室だった。




葵と英理の会話の後1人の男の子が話しかけていた。


「えっとごめんね今大丈夫?」


と話しかけてきたのはさっきのイケメン君こと渡辺くんではないか。どうしたんだろう


「大丈夫だよ。どうしたの?」


「うん、実は皆んなでクラスチャットを作ろうと思ってて、白凪さんと佐藤さんの連絡先まだ知らないから交換してほしいなって」


「そっかー いいよー」


えりが先にスマホを取り出して連絡先を見せる。私もそれに次いでスマホを取り出す。


「ありがとう。それと白凪さん学級委員のことで相談とかしたいから個人でも連絡していいかな?」


「うん、いいよ」


「ありがとう。それじゃあ僕は他の人のも聞いてくるから」


と言って教室にいる生徒に話しかけに行った。

そういえばえりは私と話した時すぐに砕けた感じになってたけど今回はならなかったな。なんでだろう。やっぱりあれか、私がギャルだと勘(違います)




それから授業があったが、あいにく習ったところなのでボーッと聞いていた。最初だから簡単だなーとか思いながら。授業が終わる合間にさまざまなクラスメイトが話しかけてきた。みんな連絡先が欲しいらしい。でもえりの方を見ると少し怖がってる人が多かった。ギャルってやっぱり怖いのかな?私もギャルだけど?


「えり、怖がられてない?」


「うーんわたしもみんなと仲良くしたいだけなんだけどねー やっぱり目かなー」


確かにえりの目はつり目なので、普通に話していても怖がられやすいのかもしれない。


「えりは優しい子なのに」


少しムッとしてしまう。みんな第一印象で捉えてしまっていて私の初めての友達のことをよく知らないから。


「んんー、相棒が超可愛いよー!」


とかいいながら頭を撫でてくる。うむ、久しぶりの感覚だ。小学生以来ではないだろうか。小学6年生の時に運動会で一位を取りお母さんに頭を撫でられた感覚を思い出した。くすぐったいけれど、気持ちいいんだよね。あれ、もう終わり?名残惜しそうに見つめてみる。この時上目遣いである。


「ッッ、やばいこれ一生撫でれるわ」


うん。わたしもえりなら一生撫でてていいよ




⭐︎



放課後、部活動紹介が始まった。


この学校では部活動紹介を一斉に行うらしい。一斉にと言ってもただ体育館で順番にやるだけなのだが。


先に運動部からやるようだ。

陸上部、テニス部、サッカー部、バスケ部と次々と紹介されていく。インターハイ優勝してるとこもあるみたい。すごいな


「えりはどれにするか決まった?」


「うん!バスケ部入ろうかなって」


「いいね、カッコいいよ」


「そっか、俄然やる気出てきたわ」


バスケ部はインターハイ出場したものの、惜しくも準優勝らしい。きっとハードな部活動になることが予測できるがえりは運動が好きそうなので大丈夫だろう。


次に文化部の紹介だ。

私はこちらを狙っている。なぜなら帰宅部がある可能性があるからだ。ギャルといえば帰宅部だよね(えりはギャルだけどギャルじゃない)


〜部活動紹介中〜 


なん…だと…

帰宅部はないらしい。えーと今日は災難な日だなー(現実逃避)。でもやってみたい部活あったしここは意識しないで選ぶか。いいよねギャルが部活してても。


「あおちーどれにした?」


「私は茶道部に入ろうかなって」


そう、私は茶道部を選んだ。理由は礼儀作法の勉強とかしているうちに茶道というものを知った。前世ではあまり興味なかったけど、昔から継がれている歴史をずっと継承されているのだなと思うと、とてもいとおかしだからである。

それにどうやら着物を着れるらしい。可愛い人が着物着たらいつもの倍可愛く見えるでしょ。

そういうことである。


「ほうほう、それはぜひ見に行かなきゃだ」


「見にくるの?」


「どの部活も入部してなくても誘ったりできるみたいだし、時間ある時いこうかなって。それにあおちーの着物姿みたいしねー」


「それなら私はえりのバスケしてるとこたまに見に行こうかな」


「うんうん、おいでおいでー」


こうして部活動紹介は終わった。部活が本格的に始まるのは明日かららしい。ちなみに茶道部は火曜日と金曜日の二日だ。今日は火曜日なので今週は金曜日の一回のみである。そこで顔合わせ会があるのだろう。


さてさて帰りますか。


「えり、帰ろう」


「うん、今行くよー」

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