第2.5話 ギャルからみた葵
みんな、やっほー
今日からJKの佐藤 英理だよ。
今から入学式あるんだけどけっこーめんどーだよね。今年は春だけどまだ寒いし。スカートも短くしてるから寒いんだよね。でも、おしゃれの一環としてミニスカは譲れないかな。
かわいいよね、ミニスカ!
あとこの学校は基本服装とか頭髪とかの厳しい検査はないっぽいから、金髪に挑戦してみた!
わたしは中学の友達から言動がギャルっぽいと言われ続けたこともあり、今では見た目もギャルを意識した感じにしたんだ。
似合うかな?
あ、校長先生の話みたい。
んー長いな。 …ちょっと眠くなってきた。
校長先生の話が長いのは小中高一緒なのかな。
眠気に抗うために、今話題のkpopを脳内で流す。
だめだ…落ちる…
「校長先生ありがとうございました。」
あ、終わったみたい。どうやら少し眠っていたようだ。
「それでは新入生代表、白凪 葵さんお願いします。」
「はい」
と、意識を声の聞こえた方に向ける。
そして思わず おおぅ と声が漏れてしまった。
なんだあの可愛さは?!
声を漏らしてしまったのはわたしだけではないらしい。周囲を見渡してもみんながあの子に釘付けになっている。
まず惹かれたのがあの髪だ。
わたしは白髪を初めてみたかもしれない。
みたことあったとしてもおじいちゃんおばあちゃんくらいかな。あれは白髪(しらが)だと思うけど。その髪を綺麗なロングヘアできれいにまとめている。若くして綺麗な白髪をしているあの子は浮世離れしている印象で、女神様かなと一瞬チラついた。
それに整った顔立ちだ。いいなぁ、わたしもあの子くらい可愛かったらなぁと嫉妬してしまいそうなほど、いや嫉妬できないほど整っている。あんなに可愛い子がいたんだ。
その子は姿勢正しく背筋を伸ばして優雅に歩いている。そして視線は自然にある一点に集中し…デッッッ
おっといけないいけない、現実逃避しかけた。
わたしは恐る恐る下を向く、そこにはまだ発展途上かなと慎ましげに主張する胸筋。どうやったらあんなに成長するの?なに食べて生きてきたのかな?あとで聞いてみよっかな。
それよりもあの子が代表ってことは、この学年で一番頭がいいってことだよね。わたしもこの学校に入学するために、それなりに勉強とか頑張ったけど、名門ということもあってなかなか難しかったんだよね。それだと私みたいなタイプのギャルとは性格が違うかもなぁ。
ぜひ仲良くなりたいけど、あの子が嫌がるかもしれないしちょっと様子を伺ってみようかな。
そう考えているうちにスピーチは終盤を迎えいるようだ。ちょっと考えすぎちゃった。話聞かないとね。
「そして!みなさんと入学できた今日という日を心より嬉しく思います。…」
ニコッとするあの子を見て、射抜かれない人はいないだろう。わたしの前の席の子は胸を押さえてなにかに悶えてるし。
わたしもつい言葉を失っちゃったしね。
そんなこんなで無事(?)入学式を終えたわたしたちだけど、多分周りの人たちもみんなあの子がどのクラスなのか気になってるみたいだね。
さて、クラスは…と…
お、同じみたい。
席が近くなるといいなー いつでも話せるし
教室についてから各々が席についた。
わたしも席についてからあの子を探してみる。
端っこから〜っと…隣じゃん
うわ、近くから見るとまじ可愛いな
…自分の中にある庇護欲だか母性なんだかが溢れてくる気がするよー
よし、決めた! わたしは初めにこの子と仲良くなってたくさん愛でてやる!
あ、キョロキョロしてる。かわいー
この子のことを観察して暇を潰しつつ、しばらくするとスーツを着た女の人が入ってきた。おそらく担任かな。
その女の人は教壇の前に立つと自己紹介でもしましょうかと言う。
「それでは、私から。担任に就任しました、宮島です。みなさんこれからよろしくお願いしますね。」
やはり担任だったようだ。表情がコロコロ変わっていて面白いから、なんか質問してみよーかな。なにがいいかなぁ…うーん、これかな。
「せんせー何歳ですかー」
「な、内緒ですー!」
「えーおしえてくれないのー?」
やっぱりおもしろい。とても年上とは思えないような話し方に表情がコロコロ変わるもんだからこのせんせーはいじりやすくていいなぁ。
…それにしてもあんまりジロジロ見ないでもらっていい?かわいいのはわかったから…
隣からキラキラとした視線を感じながら、わたしは気づかないふりをした。
それからは自己紹介をすることになった。
趣味はゲーム?…そっか
読書が好きです…へーそうなんだー
なんかぼそぼそとしゃべってて聞こえづらいな
とか適当に考えながら名前と顔を一致させていく。そんな中一際注目されているであろうあの子の出番がきた。
「白凪 葵です。趣味はオタ…楽しいことならなんでも好きです。みなさんと仲良くなれるように頑張ります。」
パチパチパチパチ
しらなぎあおいちゃんか。そういえばスピーチのとき名前言ってたな。見惚れてて内容全然入ってこなかったんだケド
あと、なにか言いかけてた気がするけどきのせいかな
うむみんなと仲良くなりたいねぇ…
やはりこの子は箱入り娘なのだろうなぁ
容姿といい、話し方といいお金持ちのお嬢様って感じ?
でもおそらくだが、その第一印象のせいでこれまで苦労してきただろうね
可愛すぎると逆に話しかけづらく、展示物みたいな扱いとかされることありそうだし。
いじめの対象にもなりやすいからねー…
(深読みである)
それはいやだな…可愛い子には笑顔が似合うし
、ここは私が人肌脱いじゃおっかなー!
その後も自己紹介が進んでいった。私は可愛いものならなんでも好きですーと無難な挨拶を済ませたよ。
キーンコーンカーンコーン
休み時間になったみたい。
よし、いくかーと背伸びをして隣を見る。
ん?目が合った
「あの、白凪 葵といいます。隣の席で気になってたから話しかけてみました。」
まさかあっちからさきに話しかけてくるとは
まぁ、でも元よりわたしも話しかけにいくつもりだったしいいか。
わたしは笑顔で迎え入れる。
「うんうん。わたしは佐藤英理だよー 私のことはえりってよんで!よろしくねあおちー!
それと、敬語はいらないよー」
あ、あおちー?!と驚きつつも嬉しそうにするあおちーにわたしは思わず頬が緩んでしまう
「わ、わかった。それで早速なんだけどこれ知ってる?」
と、あおちーはスマホを取り出し、最近話題になっているカフェの新作飲み物の写真を見せてきた。
あれ、思ったより現代っ子じゃん
「うん、知ってるよー これわたしまだ飲んだことないなー」
「それならさ、今日の放課後一緒に行ってみない?」
あおちーから提案があるとは
あおちーひょっとして結構ギャルっぽい?
いや、それはないかな(惜しい)
「いいね! はいじゃあこれわたしの連絡先」
「ありがとう えり!」
グハッ…
あぶない危ない耐えた、この笑顔の破壊力はすごいなぁ。それに名前呼びって結構いいな。
クセになりそう。
あれ後ろで聞いてた男の子が鼻血出してる
大丈夫そー?
それからは軽く世間話をしたり、成長の秘訣を聞いたりしたよ。本人が言うには、適度な運動と食事の管理をすることが大事で〜と語ってたけど最後に、あとは遺伝かなと言われたところで私はがっくしした。
放課後になってあおちーと約束のカフェに行くことになった。あおちーはお母さんに、今日帰り寄ってから帰ること伝えると言って電話している。
「うん大丈夫だよ、今日仲良くなった友達と一緒だから。」
ピッと電話を切ってこちらに振り向くあおちー
にこにこしていて許可が取れたことが伺えるが一応聞いてみよう。
「どうだった?お母さんから許可もらえた?」
うん、と嬉しそうに言うあおちーかわいすぎない?どうしよう。信用してくれるのは嬉しいけど初対面の人に心を許すぎじゃない?ちょっと心配になってきた。
カフェに到着し、新作の飲み物を買うことができた。新作は2種類あってあおちーはどうしようかと悩んでいたが、2人で分ければよくない?とわたしが提案しそのまま注文した。あおちーが何か言いかけていたがうまく聞き取ることができなかった。
「あとで分け合おうねー」
「え?あ、うんそうだね」
「どうしたの?」
「いや、なんでもないよ。気にしないで」
…んーなんだろう。
注文が届いたので早速飲むよー
「んーうまい! これいままでで一番おいしいかも!あおちーのはどう?」
「こっちもおいしい。人と飲むとさらに美味しく感じるね。」
と飲みながらそんなことを言うあおちー。
てことはやっぱりいままで人と遊びに行く機会がなかったのかな。たしかに飲むだけで絵になってしまうこのルックスの子を気軽には誘えないのはわかるけど。
うん、わたしがこの子を楽しませなきゃね!
「あおちーのもーらい! こっちはどんなもんかなー?」
「あ、待って!」
と言って軽く手を伸ばしてくる。
さてはこれ、
「なになにどうしたのー? もしかして間接キスしちゃうーとか思ってるの?かわいー」
ち、違うしと頬を染めながら否定するが、それはバレバレでは?かわいいかよ。
「じゃあ飲んじゃうよ? いただきまーす
…うん、こっちもおいしーね!」
反応みるのたのしーなー
うぶな反応見せてくれるからきゅんきゅんする
「そ、そっちのもちょうだい」
どうぞーと献上する。
これでおあいこだからねと口元を強調して飲み始める。は?えロっ
なんだろう、なんだろう。あおちーの動作の一つ一つを見るたびに心が満たされていく気がする。この気持ちはなんだろう。
それからいつのまにか時間はあっという間で、
今日はありがとねと言われたので、わたしはこっちだからまた明日ねーと返した。あおちーと別れ、歩きながら考えているが、先ほどの気持ちは一体なんだったのだろう。今まで感じたことのない気持ちだった。中学の友達と遊んだ時でも感じたことはないものだった。あおちーと遊んで、話して、はじめてかんじることができた。あおちーと一緒だから?それにあおちーのことを考えると自分の中で嬉しい気持ちになる。この気持ちは…もしかして…こ
「えり おかえり!」
ハッと意識を戻す。どうやら家に着いていたみたい。
ママただいまーと返す。気づいてしまった気持ちを誤魔化すように
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