第2話 優等生ギャル
入学初日
「それでは新入生代表、白凪 葵さんお願いします。」
私はよく通る声で はい と返事をした。
その声に体育館が少しザワっと湧き立ったが、
気にしてないふりをして体育館のステージの上に立ち、新入生代表の挨拶をはじめる。
忘れてた!!!
中学時代の名残があったから、優等生モードで入学試験に挑んでたんだった。流石に合格しないとそもそも私の夢叶えられないじゃんと思い、全て満点のテスト(自己採点)に完璧な面接(持論)で先生方を圧倒したんだった。
おかげで三月頃に一度学校に赴くことになり、挨拶の練習をしたのだったが、夢を叶えられることが嬉しすぎて忘れていたのである。
「新入生代表の白凪 葵です。私たちは…」
さて、これからどうしようか。だって新入生代表=優等生じゃん!ギャル要素皆無だよ!
スピーチをこなしながら頭をフル回転させる。
(本人はあまり気にしていないがスピーチをこなしながらこれからの学校生活に思いを馳せる主人公の脳の処理速度は凄まじいものである。マルチタスクにも程があるだろ!脳二つついとんか!)
…いや、まだいけるはず!
「そして!みなさんと入学できた今日という日を心より嬉しく思います。…」
ニカッと眩しいほどの笑顔を浮かべると、椅子がガタッと動いた音がした。どうしたんだろ。
なお笑顔浮かべたのは、葵がまだ挽回の余地があると考えついただけなのだが。
無事(?)入学式を終え、クラスに向かうことになった。よし、まずはギャルっぽい子と友達になることが第一優先かな。私に優等生のレッテルがある以上、ギャルにはなれない。いや、優等生ギャルもあるのか?まぁ、いい。
私が目指しているのはオタクに優しいギャルであるから、クラスカーストは上位に位置しなければならない。そして、いかにも私ギャルですよーって子と仲良くすることで、「あ、あの人もギャルなんだ」と思われるだろう。入学して一か月で大体のグループが形成されるから、一軍に近いポジションに居座ることができれば、完璧だろう。とりあえずオタクに優しくするのは5.6月くらいからがちょうどいいだろう。
なんて素晴らしい計画だ!早速実行しよう。
クラスにつき自分の席を確認して座った。どうやら一番後ろの席のようだ。運がいいな。人間を観察するのにとてもいい。そして周りをキョロキョロ見渡す。まずは人間を観察することから始めよう。
それからしばらくして若い女性が教壇の前に立って、自己紹介でもしましょうかと言う。
「それでは、私から。担任に就任しました、宮島です。みなさんこれからよろしくお願いしますね。」
どうやらこの女性が担任の先生らしい。
凛々しい顔つきだが、表情が豊かである。印象としてきっちりとしていながらも、あどけない様子が伺える。絡みやすそうでなによりだ。
よし、早速絡みにいってギャルポイントを稼がないと。
「せんせー何歳ですかー」
と思っていると、隣の席から声が発せられた。
振り返った私はその姿を見て驚愕した。
oh…これは…ホンモノや
ギャル発見である。容姿はボブカットで綺麗に切り揃えられた金髪に、つり目が特徴的な女の子だ。
何より先生がないしょですーと軽口をたたき、
えーおしえてくれないのー?と返す彼女は誰がみてもコミュ強だろう。
つまり!私はこの女の子と仲良くする必要がある!!(夢のためならなんでもする女)
普通の生徒は先生に軽口を叩くようなことはしない。でも彼女はいともふつうにやってのけた。ということは、周りの認識的にも彼女の存在感はとても強く、第一軍に属する者であると理解させられた。おそらくこのクラスは彼女を中心にグループやらできていくのだろう。
なら私は君を利用させてもらうよ(ゲス顔)
そこからは五十音順で自己紹介が行われていった。
うん、結構オタクっぽそうな人は多いイメージがあるかな。あとは高校デビューかなって子がちらほらと。なんか寡黙系のイケメンですって感じの子もいたし。もちろん可愛い子も多かったよ。
私?私はもちろんスピーチの時とは印象が異なるように、絡みやすそうな雰囲気を全開でいったよ。パチパチと軽い拍手だったが。
し、失敗なんてしてないし。
そして先ほどのギャルの女の子は
佐藤 英理(さとう えり)という名前らしい。うん、ギャルっぽそう。(偏見)
さて、さっそく話しかけにいくとしますか。
おっすおっすこんにちはー 仲良くしようぜー
あおちー?! うんじゃあそれで
〜少女お話中〜
よし、仲良くなれました!早速今日の放課後新作のカフェに行く約束を取り付けてきました。
終始彼女はニヤニヤとしていましたが、これはデフォルトなのでしょう。気にしないでおきましょう。それより彼女と仲良くなれたことに今は喜びを感じることにします。計画が順調にすすんでるゼェ…
「えり、約束してたカフェに行こう。」
「あおちーはしゃぎすぎー」
「そんなにはしゃいでないよ?」
「そっかそっか」
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