第5話 ダンジョン(その3)

『ようやく2階層だな。』

『敵多すぎるでしょ。』

『間違いない。』

その後、タランチュラの群れと遭遇し、何とか倒す事が出来た。

しかし、防具や武器がボロボロの状態になっている。このままいけば、間違いなく死ぬ。

『ん?体力の表示がないな。』

『いつ死ぬか分からないね。』

そう、このダンジョンにおいての『常識』。

それは、『体力の表示がなく、死と隣り合わせの状態が常に続く。』というもの。

つまり、いつ死ぬか分からない恐怖と重圧を常に背負うことになる。

そして、あろう事か、回復の処置さえ禁じられていることが判明。

『絶体絶命じゃん。』

『マズイな。ん?これは?』

宇賀崎蒼弥のステータスには、『新たな能力を発見しました。』という表示が。

『見てみるか。』

【能力:エナジーブラスト】

『なんだこれ?』

【エナジーブラスト:自分と味方の体力を回復し、一定期間敵の攻撃を無力化する。】

『壊れてるな。まじで。』

一方、葵も新たな能力を入手していた。

『蒼弥くん、私の能力、進化したんだけど?』

『まじ?』

【能力:ダストドライブ】

【ダストドライブ:相手の毒攻撃によるダメージを無効化し、味方全員に、ダストバリエーションの効果を付与。また、毒による追撃及びステータスダウンなどのデバフを受けない。】

『とりあえず、エナジーブラスト発動。』

『ありがとう、蒼弥くん。』

お互いの体力が大きく回復した。

『2階層の敵は、ドラグーンか。』

群れをなして攻撃することを得意とするモンスター。1回の攻撃によるダメージが大きい。

『いくぞ葵!!』

『OK!任せて』

この時は、まだ知らなかった。この敵の恐ろしさを………。



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