第5話:賞金稼ぎ。

パンのダチ、警察に勤めてる「ザル・ボウル」から、逐一情報が入ってきていた。

ヒューマノイドの探索範囲はかなり拡張してていてパンが住むエリアにも

賞金稼ぎが入り込んできてるって話だった。


「パン、おまえのアパート付近もこれからヤバくなるかもな」

「今のうちにそこを抜けたほうがいいぞ」


って話してた矢先、ついにここが警察「賞金稼ぎ」に嗅ぎつけられた。

何人かでやって来たのかと思ったら、手柄を独り占めしようと思ったのか

やって来たのはひとりだった。


古いアパートだったが、それなりにセキュリティーは効いていたから

怪しい奴が来たら、すぐ分かるようにはなっている。

玄関にセットしてあるカメラにそいつの姿が映っていた。


「ノルン、やつらが来たみたいだ」

「すぐにここから逃げるぞ」


俺はノルンの手を引いて別のドアから外の逃げようとした。

そしたら、ひとりだと思った賞金稼ぎがもうひとりいたみたいで

そいつが俺たちが出ようとしたドアからいきなり侵入して来て俺とノルンを

見るなり銃を二発ぶっ放した。


かろうじて弾は外れたが、また撃ってくるかもしれない。


「バカやろう・・・撃つなって」

「殺すつもりか?」

「ノルンそのソファの後ろに隠れてろ」


「パンちゃん、私はいいんだよ」

「私を賞金稼ぎに引き渡して・・・」

「そしたらパンちゃんに危害は及ばないから」


「なに、言ってんの・・・そんなことできるわけないだろ?」

「もっと自分を大事にしろよ」


「殺されたくなかったら大人しくガイノイドを渡しな」

「殺したっていいんだ、先方は死体でもいいってよ」


「待て待て、見逃してもらえないか?」

「あんたさえ黙ってくれてたらいいだけの話だろ?」


「そんなアホなことして金にもなんねえだろうがよ」

「ガイノイドを見逃したって俺になんのメリットもねえからな」


そいつとやりとりしてたら、玄関ドアが破られてもう一人の賞金稼ぎが

入ってきた。

万事休す・・・武器も持ってない俺たちがふたり相手に勝てるわけがない。

これはもう観念するしかないかなって思った。

そしたら玄関から入ってきたのは俺のダチ俺は「ザル・ボウル」だった。


「パン大丈夫か?・・・無事か?」


「ザル・・・おまえか?・・・助かった」


「玄関にいた賞金稼ぎらしいやつは俺が倒しておいた」

「相手はもうひとりだ・・・俺に任せろ」


「おい賞金稼ぎ・・・こいつらは俺の獲物だ・・・俺がもらう、引け」


ザルが怒鳴った。


「そうはいかねえ・・・そいつらは先に来た俺の獲物だ」


「じゃ〜しかたねえ・・・おまえが賞金稼ぎができなくなるだけの話だ」


ザルは持っていたショットガンを脅しのつもりで一発ぶっ放した。


「わ〜俺の部屋がボロボロにまっちまうよ」

「ノルン動くなよ、俺から離れるな」


「分かったパンちゃんにしがみついてる」


「今のは威嚇だ・・・死にたくねえだろ?・・・引くなら今のうちだぞ」


そう言ってザルはまたショットガンを一発ぶっ放した。


「待て待て・・・分かった・・・めったやたらとぶっ放すのはやめろ」

「一旦引いてやるが、このままじゃ諦めんからな」

「必ずガイノイドは手に入れる・・・どこに逃げようとな」


そう言うと賞金稼ぎは音もなく消えた。

ザルのおかげで、とりあえずこの場は凌げた。


「パン、ガイノイドを連れて俺のアジトへ来い」

「俺のアジトにはまだ警察の追っ手は迫ってきてないみたいだからな」

「そこで今後のことを考えよう」


たしかにもうここはダメだ。

ほとぼりが冷めるまで俺の住処には帰ってこれそうにないな。

ほとぼりが冷めたらの話だが・・・。


俺はノルンを連れてザルのアジトにかくまってもらうことにした。


だがこのまま賞金稼ぎから逃げおおすのは難しいかもしれない。

なにかベストな方法を見つけないと・・・。


つづく。

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