第4話:ノルンは俺が絶対守る。
「ノルン、君のことだけど・・・ガイノメディックの状況をもっと把握してたい
から、今、知り合いに調べてもらってるんだ」
「警察の中にも俺の知り合いがいてさ・・・そいつは信用できるやつだし、
心配ないから・・・」
「逃げたヒューマノイドの捜査の情報流してもらおうと思って」
「ここにだっていつ賞金稼ぎがやってくるかもしれないからね」
「ごめんなさい、私のために・・・」
「気にしない、気にしない・・・もしここに賞金稼ぎが来たら戦うけどね」
「君を守らなくちゃ」
「どうしてそこまで?」
「俺はノルンが気に入ってるの・・・別の言い方をすると好きって気持ちかな」
「それもかなりディープな感情」
「私のこと?・・・そんなふうに?」
「迷惑?」
「そんなことない・・・」
「私も・・・私もパンちゃんが好きだよ」
「俺さ、親も兄弟もいない天涯孤独なんだ・・・物心ついたときには施設にいた
からね」
「だから君のことも他人とは思えなくて・・・親兄弟よりもっと身近な存在」
「たとえば恋人とか・・・」
「恋人?・・・・分かります、恋人の意味も感情も」
「ノルン、君って普通のガイノイドじゃないよね・・・すごく感情的なんだもん」
「感受性が豊かって言うか・・・」
「君ってもしかして自我に目覚めてる?」
「よく分かんない・・・けど愛情については分かるよ」
「ヒューマノイドの研究は奥深いんだ・・・もっともっと進歩すると思うけど」
「そのうち独立した精神を持ったヒューマノイドが誕生すると思うんだ」
「でも、研究はそこまでで止まってしまうだろうね」
「ヒューマノイドが自我に目覚めたら、いろいろやっかいだから・・・人間と差別化できなくなっちゃうからね」
「稀に脳が進化して自我に目覚めるヒューマノイドがいるんだって聞いたこと
があるよ」
「君がそうなんだ・・・たぶん、そうだと思う・・・俺、ますます君のことが
知りたくなってきた」
「だから君にいなくなられちゃ困るの」
「さっきも言ったけど、俺の知り合いの名前「ザル・ボウル」ってやつなんだけど」
「ここがヤバくなったらそいつの住処に転がり込むからね・・・」
「俺一人じゃ対応できないかもしれないから・・・」
「私のためにごめんね・・・この埋め合わせはするからね」
「何もしなくていい・・・俺のそばにいてくれるだけでいいから」
「俺は俺のこの小さな世界に君がいないことなんか想像できなくなってるんだ」
「私はインスタントなんだよ・・・それが私の宿命でもあるし生きてる証だよ」
「私を求めてくれていいんだよ・・・その方が私は嬉しい」
「愛のない繋がりより私を愛してくれる人と結ばれることが私にとっての幸せ」
「分かった・・・でも今はそれより大事なことがあるから・・・」
「君が本当の意味で自由になれたら、その時はね・・・」
「そういう時が来ることを願ってるし、そこに向かって俺は君を連れて走る」
「パンちゃん・・・」
「大丈夫だからね、ノルンは俺が絶対守る」
「誰にも渡さない・・・かならず守るから・・・誓うよ」
その夜、俺はノルンを抱いて寝た・・・肉体関係はまだ持たない。
今は精神的繋がりの方が大事だから・・・。
つづく。
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