第2話 おとずれ

 昨日の賑やかさが幻だったかのよう、イノコド街は普段の落ち着きを取り戻していた。

 瑠歌は一人で街の中を進み、作業場へ向かっていた。今日は堆積作業の手伝いだ。昨日の作業では一般的な石や砂と鉱石を篩い分けるための笊を身につけていたが、堆積作業では男たちが掘り上げた土壌を指定場所まで運ぶという仕事だ。これは徒歩や台車を使って運ぶ単純作業であるものの、その中で全身に泥が付着したり、指定先までの経路が複雑なものがあったりと人の好き嫌いが浮き出やすいと言われている。

 昨晩の人混みと異なり、瑠歌は滞りなく地上に出ることができた。茂みを掻き分け、作業場の河岸を目指そうとした時、昨夜約束をした友に遭遇する。

「瑠歌、おはよう。ねえ、昨日一緒にいた男の人のこと教えてよ」

 紅美の問いに私はどきっとする。友は腕を私の肩に回し、話し続ける。

「瑠歌が頬を赤らめるなんて。しかも、男の人に抱っこされて、自分から首に腕を回して」

 紅美の口から発せられた言葉によって、瑠歌の脳内で昨夜の出来事が浮上し、自動再生される。

「それはあの人が探しやすいだろうって私を持ち上げて」

「はいはい。言い訳は要らないのよ。何があったの」

 昨夜の祭りではぐれてしまった瑠歌は友を探すために、勾玉の男が引き合わせた男の力を借りることになった。しかし、瑠歌が一人で歩ける状態まですぐに回復するのは困難に思われたため、氷夏が両腕で瑠歌を抱えて人探しをすることになったのである。

 背の高い氷夏に抱えられているおかげで、紅美の姿を周りにいる人たちよりも高い視点から探すことができた。その高さから見える景色は、いつもの見慣れた場所ということを頭で理解していても、まるで別の景色を見ているようであった。その新鮮さに興奮している自分の感情が氷夏にも伝わったのか、「落ちないように首に腕を回せ」という彼の言葉をきっかけに私も勇気を振り絞って彼に色々尋ねてみた。

 すると、氷夏は終始穏やかな口調で話してくれた。例えば、氷夏は水の民であることや勾玉の男の付き添いで祭りに来ていたことなど。土の民にとって水の民との関係性は、取引先の火や金の民に比べて希薄だ。仕事でも直接なやり取りが少ない民であると認識している。だからこそ、彼の語る水の民の街「コスイ」の話は私の胸を躍らせた。水の民のこと、コスイ街のこと、ひいては氷夏のことをもっと知りたいと興味を感じる時間だった。

 瑠歌たちは勾玉の男が告げた導に倣い足を進めていたが、周りからの目線で自分たちが目立っていることに気づき、瑠歌の方から早く下ろすように彼に頼むも、「お前、歩けねえじゃん」と一蹴された。何度も説得を試みるも、彼に拒ばれた。そのようなやり取りを交わす彼らの様子を近くで見ていた人たちの噂を聞きつけた紅美が、見知らぬ男に抱えられている友の姿を捉え、血相を変えて駆けつけて来てくれたことで、瑠歌はようやく彼の腕から下ろされたのだった。

 私は彼と別れる前にこう伝えた。どこかで貴方を見かけた時、見つけた時、こちらから声をかけますと。すると、「俺もお前を見かけたら声かける」と彼も快く了承してくれた。そして、最後に「もう迷子になるなよ」と彼は私の頭をぽんぽんと撫で、儀式が始まってもなお賑わう祭りの中へ姿を消した。

 一日経った今でも、少し目を閉じれば、その時の彼の低く優しい声が私の心をくすぐる。

 以上のことを隣で歩く友に伝えたところ、彼女は突然立ち止まった。それに合わせて瑠歌も数歩先で足を止める。どうしたのかと瑠歌が様子を伺っていると、紅美は瑠歌に駆け寄り、彼女の両手を握った。

「瑠歌、その人を追い続けよう。その返事は相手も脈ありってことよ」

「紅美はせっかちさんだね。私はこの約束が果たされるのが、自分がおばあさんになってからでも全然嬉しいよ」

 紅美は友の楽観的な言葉を聞き、彼女の頬を摘んだ。瑠歌の頬が横に伸びる。

「瑠歌、あのね私は老後の話をしているんじゃないのよ」

「いたたたっ…。紅美こそ、あの時走って行っちゃったけど、どうだったのさ」

 痛いよーと瑠歌は頬を紅美に摘まれたまま、紅美の昨夜の出来事について尋ねた。

「私の目は間違ってなかった。追いかけて行った先に彼がいたけど」

と紅美の口調が次第に強くなっていく。彼女の首飾りの石が太陽の光に反射して、鮮やかな橙色に煌めく。

「周りにあんなにもたくさんの女を連ねて、人たらしにもほどがあるわ」

 想定外の最低な男だったと友は吐き捨てるように言った。友の話から、勝手な偏見だが、火の民は社交的な性格の人が多い印象で、それゆえか、良くも悪くも色んな人を惹きつけてしまう力が働いているかもしれないと瑠歌は心の中で思った。属性の壁を肥えて人を惹きつけるような魅力の持つ火の民だからこそ、友は一目惚れしたのだと推察される。紅美は友の頬から指を離して、続けて言った。

「今年の祭りに自分の恋を賭けた訳だけど、それが上手くいかなった私だからこそ、瑠歌の出会いはと感じるのよ」

 友の力強い言葉と眼差しに瑠歌もたじろぐ。確かに、氷夏と初めて会った時、緊張感の漂う外見とは対照的に、一瞬見えた彼の内面的な穏やかさや優しいところに釘付けになっていた。加えて、周りにいた人の目線に恥ずかしくなったが、彼の腕の中にいた時の温かみも忘れられない。

 私は心のどこかで恋愛は自分に向いていない、出逢いなんてある訳ないと勝手に自分を決めつけていたのだ。紅美の恋愛に対する熱い想いを信じてみようと自分の心と向き合うことを決めた。

「うん。そうだね、紅美。私、頑張ってみる」

彼女たちは固く誓い合って、各々の作業場へ向かうため、一旦の別れとなった。



 鉱山に囲まれたイノコド街で、唯一、川が流れている谷の中腹より、男たちの雄々しい声が飛び交う。彼らは土壌を一心に掘り進める堆積作業の民たちだ。その近くには、彼らによって掘り出された土を荷台や陶器に移し、指定の場所まで運ぶために民が列を成している。

 瑠歌も両腕で大きな壺のような陶器を抱え、坂道を登っていた。意気よい良く走るとその振動でこぼれ落ちてしまうほど、壺には目一杯の土が詰まれている。たとえ、ひと匙程度の量であっても、取引先との大切な土のため、慎重に、普段の歩幅より少し広げて運ぶ。

 瑠歌の向かう先はイノコドと金の民の街「カナドリ」との境界線近くの堆積場だ。これから川を下っていく道のりが続くが、勾配の急なところが多くみられ、樹木の根は地面剥き出しになっていたり、水捌けの悪い土壌を経由したりと、足元に注意を払う必要性の高い経路だ。先ほどの採掘場から堆積場までは徒歩で三十分ほど要する。瑠歌は運搬中、同じ行先の大人たちに後ろを抜かれながらも、見失わないよう、必死に彼らの背中に付いていった。

「よっ、瑠歌。今日一緒の作業だな。よろしく」

と瑠歌に後ろから元気よく声をかけてきたのは、瑠歌の家の隣に住む先輩であった。彼女は瑠歌の幼少期の頃から親しい間柄で、名を翠姫という。彼女の袖の短い衣から覗く引き締まった右上腕には大きな翠銅鉱の腕輪が付いている。年齢は瑠歌の二つ上で、姉のような存在だ。瑠歌は彼女に同年齢の恋人がいることをふと思い出した。

「そういえば、翠ちゃんには好きな人がいたよね。告白されたって言ってた人。今も関係は続いてるの」

 私は自分の速度に合わせて歩いてくれている彼女に尋ねた。翠姫はその問いに少し顔を赤らめ、前を向いたまま「そうだよ。昨日の祭りも一緒に行った」と答えてくれた。私は続けて問う。

「翠ちゃんと恋人さんとの馴れ初めとか聞いてもいい」

 以前の私なら、彼女と恋人が友好的な関係であることを知れた時点で自分なりに満足し、これで会話を完結させていたかもしれない。けれども、今の私は彼女たちのことをできる限り深く知りたいと思うようになった。

 その異変に翠姫も何か感じ取ったようで、「瑠歌、好きな人でもできたのか」と目を輝かせ、口元がにやにやと緩んでいる。

「翠ちゃん、喜びすぎ。告白とかはしていないけど、翠ちゃんたちみたいな、そういう関係になれたらいいなと思う人はできた」

 瑠歌は脳内の半分は冷静に答えているつもりだが、残り半分は自分の口から出た恋愛に対する正直な言葉に恥ずかしくなった。

「ついこの間まで興味ない、関心ないみたいな人が一途に一目惚れすることがあったなんて驚きじゃない」

「私のことはいいから、翠ちゃんたちのこと教えてってば」

 氷夏との出会いで恋と向き合うと決めた私に対して、翠姫が家族のように私の成長を喜んでくれていることに嬉しさを感じつつも、私は一つ不安を抱えていた。

 翠姫は瑠歌に恋人との馴れ初めやその後の付き合い方、お互いの印象や大切にしていることなど、思い出を振り返るように楽しそうに語った。しかし、最後に、自身の熱を少し冷まし、落ち着いた口調で隣にいる私のみ聞こえるような声で呟いた。

「私の家系を理解してくれた上で、これからも一緒に歩むって言ってくれたことが、私の彼への信頼よ」

 翠姫は血縁に厳しい家系に生まれた。成人したら、両親が決めた許婚の相手と婚姻するという段取りが組まれていたそうだ。しかし、昨年、今の恋人ができたことを彼女が両親へ告げたところ、隣に住む私の家まで彼女の両親と思しき怒鳴り声が届いたほどだ。その一瞬で、私の一家全体にただならぬ緊張感が走ったことを今でも鮮明に思い出せる。

「翠ちゃんは親をどのように納得させたの」

「あの時は瑠歌の家にも迷惑かけてごめんね。親には、彼が同属性であることを伝えたんだけど、『そんなこと当たり前だ』って怒鳴られて」

 あの怒声の経緯について約一年の時を経て、瑠歌は理解する。翠姫は続けて語った。

「もし、私は彼が他属性の民だったとしても、彼を信じて、この家を出て行くって強く主張したら、数ヶ月の間、親と口を聞かない状態になったけど、最終的には認められて、今に至るって感じ」

 翠姫は瑠歌を気遣ってか、話の内容と反対ににこやかな笑顔を瑠歌に見せる。

「あのね、翠ちゃ…」

「そこの二人、はよ運べ」

 瑠歌が翠姫に何か尋ねようとした矢先に、監督者からの催促を受けてしまったことで、彼女との会話は一旦終了となった。

「瑠歌、昼休憩に話の続きを聞くよ。瑠歌は今のスピードでいいから、気をつけて運びな。またな」

 翠姫は監督者に一礼し足早に目的地へ向かう。あと十分ほど歩けば到着する時点まで彼女たちは来ていた。一方、瑠歌は彼女の言う通り、走れる重さではないので、目を光らせる監督者に対して一礼するも、早さよりも丁寧さを優先して足を進めた。

 一人になった私は、根が地面から剥き出しになっている林の中を掻き分けながら、翠姫の経験を脳内で反芻した。「同属性の異性と婚姻するのは当たり前」という彼女の両親の言葉が、私の心の中にある不安を強くする。なぜなら、この考え方は血縁に厳しい彼女の家に限った話ではないと推察されたからだ。瑠歌の両親も土の民で、祖父母も同様だったと聞いている。私自身に許婚はいないものの、将来、同属性と婚姻を結ぶことが望ましいということであろうか。水属である氷夏の低く穏やかな声と笑顔が私の頭の中を過ぎる。友に背中を押されて固めた氷夏に対する思いは、常識から外れたものだろうか。

 ところで、いつの時代も恋愛が必ずしも婚姻に結びつくとは限らない。私の祖父母は恋愛を経て結ばれたが、当時は親族同士の結びつきを優先する家は多く、恋愛感情に基づいた婚姻より、翠姫の家のような、血縁の繋がりを重きをおいていたという。

 では、都合の良い考えであることを前提に、もし、私と氷夏の間でお互いの恋愛感情が良い方向へゆき、その一方で、家族から同属性と婚姻するよう求められた場合、私は翠姫のように、家を捨て、氷夏を選ぶ勇気はあるだろうか。あるいは、家族に従い、氷夏の思いを心の内に秘めたまま、同属性との婚姻を結び、その相手と家庭を築くという道を選ぶのだろうか。

 瑠歌は壺に入った土を無事、堆積場へ届けたものの、恋愛、婚姻、家族という言葉を脳内のあちらこちらに駆け巡らせながら、空になった壺を再度抱えて、採掘場への帰路を目指した。その後も、土壌の詰まった壺を携え、同じ道を幾周往復する頃には昼時を迎えていた。



 瑠歌たちと同作業の民たちも腹を空かし、身体を休めるため、各々の持ち場を離れる頃。採掘場の河岸に点在する大きな岩に瑠歌は腰をかけていた。彼女のそばには小河がさらさらと音を立てて流れている。このところ、イノコドでは天候は安定して晴れることが多かったため、川の流れは穏やかで、川底の石が見えるほど澄んでいた。

「お疲れ、瑠歌。あの後、大丈夫だったか」

 支給された昼食のおにぎりを二人分抱えた翠姫が、岩の上で膝を抱えて座っている瑠歌の近くに寄り、声をかける。翠姫は午前中の作業で監督者に指摘された時のことも気にしていた。

「あ、翠ちゃん。お疲れさま。うん、特に問題なかったよ。心配してくれてありがとう」

 翠姫は「ほら」と瑠歌へおにぎりを渡す。翠姫も瑠歌の隣に腰をかけ、周りを景色を見渡しながらおにぎりを口に運んだ。

「今日も本当に天気がいいな。目を凝らしたら、カナドリの山も見えそうだ」

 瑠歌の手にしたおにぎりには梅の具が入っていた。蜂蜜漬けの梅は瑠歌の好物だった。

「翠ちゃん、梅を譲ってくれてありがとう。おにぎり美味しいね」

「おう。瑠歌の好物だと思って、大人たちの間を潜って先取してきた」

 翠姫は歯を見せ、にひひと微笑んだ。彼女の腕飾りの鉱石と太陽の光が反射しぎらりと輝く。それと同時に、翠姫の目は、風に揺られて幼馴染の耳飾りが小さな輝きを放った瞬間を捉えていた。

「ではでは、瑠歌が一目惚れした男の話を聞こうか」

 翠姫が午前中に中断されてしまった瑠歌の話を切り出す。瑠歌は既に口に入っていたものを飲み込み、食事の手を一旦止め、彼女に尋ねた。

「翠ちゃん、他属性との結婚はイノコドでは非常識のことなの。あってはいけないことなの」

 翠姫は彼女の問いに目を見開いた。それは、自分が午前中に語った恋人について、「彼が他属性だったとしても」との発言に関連していそうだ。

「瑠歌のその人はこの街の者ではないんだね」

と確認すると、瑠歌は頷く。瑠歌は先日の授かりの儀式で催された祭りでの出来事について教えてくれた。中性的な白い着物を羽織った男と一緒に祭りに来ていた水属性の男のこと。彼と一緒に友を探す中で、心が惹かれ、別れの際に再会の約束も結んだこと。

「瑠歌、他属性との恋愛や結婚がイノコド、ひいてはこの国のしきたりや法で禁止されているのではないよ」

 翠姫は自分自身の主張で両親との間に軋轢を生じさせた経緯を頭の中で振り返りながら、「もし、瑠歌がそいつと結婚して…」と瑠歌に説明し始めた。

「子どもができた時、その子どもは三つを迎える前にあの儀式を受けなければならない。それはこの国のしきたりだ。けれども、その子どもの属性は親ではなく、神さまが決めることだ」

 瑠歌は翠姫の話に真剣に耳を傾ける。

「他属性との間にできた子どもは、属性の安定性に欠くと言われているんだ」

 それが何を意味するか分かるか、と翠姫に問われるも、瑠歌は見当もつかず、頭を横に振る。

「神さまがどちらの親とも異なる属性をその子どもに与えた場合、その子どもはもう二度と親の元に戻れないということだよ。瑠歌」

 翠姫の発言に衝撃が走った。つまり、他属性との繁栄を望んだとしても、子どもに己ひいては配偶者の属性と異なるものを授けられる可能性が高くなりやすく、その先には自らの手で子を育てられない悲しみが待っているということだ。神獣とともに母なる小島へ向かった子は、儀式が終わっても帰って来ない。永遠の別れとなるのだ。

「うちの家は跡継ぎ問題に厳しいから、同属性との婚姻は前提にあることなの。親も後世を残す使命があるから、昨年の私の主張を受けて、血縁の繋がりよりも同属性の子孫を優先したんだと思う」

 自分のお腹で育てた子はその先も自分の手で育てたいと、母になった私はそう思うだろう。だから、一心に向けていた愛情の先が儀式を境に消えてしまう悲しみは想像を絶する。

 翠姫は瑠歌の顔が真っ青になっていることに気づき、自ら持参していた温かい飲み物を彼女に分け差し出す。瑠歌はこくりと頭を下げ、ゆっくりと温かいそれを口に運ぶ。

「びっくりするよな。でも、例外の場合がこれまでにも何回か見てきたって、もうすぐ白寿になるばあちゃんも言ってたし、互いに子を望まないのであれば、恋愛は自由だ。属性の壁なんてない」

 彼女たちの会話にしばらく沈黙が続いた。目の前を流れる川は心地よい波音を立てながら下流を目指す。昼食を先に済ませた翠姫が岩上から腰を上げた瞬間、少し遠くから彼女たちを呼ぶ声がかかった。それは午前中の監督者だった。翠姫が「げっ」とあまり関わりたくないという雰囲気の声を出す。

「おい、お前たちのどちらかで良いから、臨時作業に赴いてくれ。カナドリへの取引同行だ」

「外回り班で何かあったんですか」

 近くに来た監督者に対して、私は翠姫の後ろから問う。

「外回り班の一人が本日午前にカナドリでの取引中に怪我をしたそうだ。午後もカナドリで取引の予約が入っているようで、堆積作業から臨時に出すことになった」

 ここはイノコドの中でもカナドリに最も近い作業場だ。堆積作業も重要な仕事だが、取引を含めた外回りはイノコドの経済面を支える礎で、商売取引に経験豊かな人材が多く配置されている。瑠歌は手を挙げ、

「あの、私行ってもいいですけど、何の役に立たないかもしれません」

「力量は問わないと言われている。恐らく荷物の運搬や身の回りの手伝いだろう」

 監督者の言葉に従い、私は午後から外回りへ異動することになった。翠姫と別れを告げ、監督者より彼らの仕事場の地点について確認すると、ここから駆け足で十分程度の距離にある小屋と言われ、急いで支度した。





 






 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る