第109話 山麓の駅 🛤️
走り根に上りくだりの蟻の列
山麓の駅に絵日傘消えゆけり
思ふ様舞ひゆく意志や夏の蝶
代替のきかぬ言葉や文字摺草
自ずから浮ぶ真意や夏透ける
水鶏笛受容の二文字貰ふまで
瑠璃鳥の瑠璃の羽より歌自慢
老鶯や理解されぬも面白し
恃むのはこの身ひとつや仏法僧
しつかりと枝つかみゆく三光鳥
病犬の細き裸足に布を巻く
先鞭を邪道と呼べり箱眼鏡
きつちりと巡る歳月さくらんぼ
桜桃やこの世の福をふたり占め
小上りや透けて緑の烏賊刺身
歳若に鯵の小骨を除けてやる
蛸飯の旨き店なり裏通り
湖の蓮を仮寝の浮巣かな
しりよぶかく白鷺の立つ夕の川
夜鷹鳴く何に追はれて急ぎしや
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