第108話 ひたくれなゐ 🌹



しやくやくや瑠璃の色した朝が来る

ひたむきにひたくれなゐに薔薇匂ふ


一花をこよなく愛でて清和かな

あやめ咲く起伏やさしき草原に


引率の教師ふたりや麦の秋

麦秋に犬の尻尾の見え隠れ


行列のよこをすり抜け昼薄暑

街薄暑スクランブルの小世界


湧く雲に煌めくパワー夏はじめ

ひなげしの丘のコテージ海青し


亀の子のつくる水輪や園の午後

空もまた汚れを知らずえごの花


青すだれ女座りの古語めける

音楽でもてなすこころ半夏生


水無月の窟の仏の微笑める

ひと風に流るる砂丘夏夕べ


人界は胡乱と決めて髪あらふ

星近き鬼無里の里の沙羅の花


びんばふは恥ずるに足らず夏の月

星涼しマヤの絵文字を見に行かむ




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