第105話 星待ち 🌟
駒返る草のさみどりおしなべて
古草のおのが行く末見てをりぬ
をさなくてすでに尖れる菖蒲の芽
ひとり家のふきんの真白桔梗の芽
白づくし金平糖や雪やなぎ
暮の春橋の工事のいま盛ん
弾き語る男の背中や夏近し
ゆで卵十個つくりて春暑し
ぎしぎしや山高ければ谷もまた
茎立や思ふやうには生きられず
猿まつる社の昏し茅花の穂
山葵田の小川の芹の一際に
木曽路なる雨を慕ふて金鳳花
きんぽうげ熊野古道を歩く犬
万葉のその名も哀し嫁菜かな
香菜の分けて明日葉匂ひけり
春深し酸辣湯のすつぱうま
春惜しむ白き舗道に鳥の羽
星待ちの空のはなやぐ暮春かな
おぼろ夜の想ひはいつも片想ひ
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