第104話 白つつじ 🌼



黄水仙きちんと朝がやつて来て

雛菊や見えない風を見るつもり


花柄のスカーフゆるり花ミモザ

二の腕のまぶしき少女白つつじ


春光へ丈のみじかき上着かな

京訛り飛びかふ車内夏みかん


まんさくや白く透きたる昼の月

躑躅咲く土の悲しみ噴き上げて


愛求むてふ猫の仔のひとみかな

落葉松の芽吹き火山の裾野まで


黄楊の花ゆるりゆるゆる時流れ

大勢のひとつなれども黄楊の花


校庭のさくらの先の高嶺かな

春昼の好きな絵描の素描かな


格好よき祖母でありたし竹の秋

しゆんかんの音なき積り竹の秋


すずかけの花や大学農学部

足許の風に意志あり春落葉


生業といふ厳しさや桑ほどく

遅咲きの女優の妙技春ごたつ


花あんず今宵は月も濡れにけり

金星のかたむく空や花りんご




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