第7話 乱反射 🍹



北向きのペットショップや春北風

げんげ野を征きたる馬の鎮魂碑


天空に花散る里の侘び住まひ

ブラウスの少女のかひな花水木


懸崖の山城跡や夏の風

設計図なき人生や月涼し


安寧をふはり広げる日傘かな

抜け出せぬ思考の迷路髪洗ふ


大切を仕舞ふ小部屋や白桔梗

底紅や生き過ぎたとも足らぬとも


軒低き職人町の銀木犀

文月の風の竪琴つまびける


読みさしの栞に銀杏黄葉かな

叱られて腹出す犬やゐのこづち


秋蝶に連山ひだを極めけり

木枯の木枯を押す野面かな


冴ゆる夜の乱反射せる江戸切子

冬麗やゆるりと組める結跏趺坐


ひと粒のなみだとなりて枯木星

絵硝子に午後の日差しや水温む




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