第6話 からくり時計 🎠



春浅しシティホテルの窓光る

鳥雲に並木は川に沿ひにけり


黄緑に湧き立つ空やポプラの芽

身一つにウェストポーチ新樹光


春塵にからくり時計まはり出す

菜種梅雨ランタンともす喫茶店


山背負ひ小さき役所藤の雨

隠し湯へ抜ける杣道夏の月


夏暁の空に羽ばたく風見鶏

城下図に書肆の名さがす夏座敷


蜩やタイムカプセル埋めてゐる

うつし世を立ち去りがたく秋蛍


実柘榴や外階段の英語塾

サフランや溥儀の波乱の上下巻


川へだて村と町あり山粧ふ

影連れて走るトラック冬の雲


宝くじ売り場の旗に空っ風

餃子屋の二階の塾やクリスマス


起重機の宙へ伸び行く寒四郎

二月の光の粒の立ちにけり




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