お題「要検討の山賊」15分・完成

うまくやった。しめしめと私たちは基地に戻ってきた。さあ、あとは3人でこれをどう分配するかだ。


私は言う。「まあまあまあとりあえず無事に戻って来れたのが良かったよ。きっと証拠もないし村の連中は寝ているし。さてさてさてどうしようか。さっさと分配してこの基地もバラして移りたいぜ。一番の功労者はだれかな?」

右隣にいる俺も言う。「そうだなそうだ。はやく取り分を決めよう。リーダーは俺の左隣の俺がやったから、当然少し多めの分け前になるよな?」

さらに右隣の僕が言う。「ちょっと待てよ、確かに先導は僕の右隣の僕がやったけども全体のサポートは誰がやった?左隣の僕だろ?じゃあ順当にちょっと賞与じゃないが与えるべきだ。」

さらに右隣の私……つまり一巡して私に戻ってきた……私は、頭を抱える。「ううん、こりゃまいったな。それじゃ、私と僕と俺の取り分をまず均等にしよう。次にええと、リーダーとサポートをそれぞれやった右隣の私と左隣の私に多めに。そして……」

待てよ、と口を挟むのは私の右隣の私。

「左隣の俺。こうして分配をしようと持ちかけてくれているのも分配を実際にやってるのも大変なことだ。取り分をそれだけ多くしろ。」

「待ってくれよ、私は……そうしたら結局ええと、どうするのがいいんだ。」

もう一度唸り、計算をする。基地に計算機は無いから暗算だ。村から強奪したのは金だけじゃなく貴重品や食料もあるからそれを金額に直すと……。

「ああ、もういいよ、苦労するだろ!」左隣の私が耐えきれない様子で言う。

「一度、僕と私と俺、一体になろう。一旦一人になって、全てを受け取り、その後に分かれてはどう?」

その提案は鮮やかだった。右隣の私もなるほどと頷いた。私は頭の中の計算機を仕舞う。そのままあらかた頭を整理し、僕と俺が入るスペースを作った。

「さあ、右隣と左隣の私、余裕ができたから私に統合されよう。」

私がそう言うと、左右の私は納得し……だが、ふと口を開く。左右から同時に聞こえる声。

「待てよ、頭を整理するのはとんでもない功績だぞ。」

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