第2話

 珍しく残業せずに帰宅できた。今日は気分が良いからちょっと手間だけどロールキャベツをつくる気分になった。浩太と一緒に住んだらいろんな料理を振舞ってあげたい。というか一緒に作りたいな。


 夕ご飯を食べながらスマートフォンを触っていると、LINEの友達タブに小さく赤い点がついていた。誰かがプロフィールを更新したときにつくサインだ。こういうのは見つけたときに確認しておきたい。


 スクロールしていくと大輔のアイコンが変わっていた。タップすると見覚えのあるエレガントな雰囲気をまとうどこかの店内だった。それは見覚えがあるところだった。思い出すと胸に痛みが走った。この前行ったホテルの最上階にあるフレンチのお店だった。そこで浩太にプロポーズされた。大輔も最近利用したのだろうか。偶然にしても正直気味が悪い。確かに私はずっと地元から離れていないし、大輔もそうだとしたらおかしいことではない。考えすぎだと思って寝ることにした。


 後輩の女の子とカフェでランチした日の夕ご飯は少なくすると決めている。それは、カフェのオムライスの量が多いけど美味しいし残すのももったいないから結局、完食してしまうためだった。そのカフェのオムライスは特徴的で、中身のお米に玄米が含まれている。ヘルシーを謳っているわけだけど、量が多いのでプラスマイナスゼロだと思う。


 生野菜と鶏胸肉を炒めたものを食べながらスマートフォンを触っていると、また友達タブが赤い点がついていた。スクロールしていくとまた大輔のアイコンが変わっている。今度はタップする前に固まってしまった。それは私が好んで食べているカフェのオムライスだったからだ。


 一目でわかる。その店のオムライスはラグビーボールの形ではなく、球形をしていた。大輔もこの店の関係者なのだろうか。それともこの近くに住んでいるのだろうか。いずれにしろ、しばらくこの店にはいかない方が良さそうだった。やっぱり気味が悪い。同窓会にもいかない方が良いのだろうか。でも結局久しぶりの友達に会える楽しみが勝ってしまう。

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