第5話 点火
「遂にやれるんですね。あいつらに目にもの見せてやるぜ。」
東の決定を聞きそう嬉しそうに牙煌は言う。
「でもぉ、戦力足りますぅ?」
「まあ待て。作戦について説明してから質問は受け付ける。まず参加する隊員を言おう。今回は7級以上の精鋭のみの参加とする。」
東が告げた者たちは以下のものである。
及川本隊隊長 及川葉月(10級)
及川本隊副隊長
及川本隊隊員
及川本隊隊員
及川本隊所属・梢枝原隊隊長 梢枝原流香(8級)
及川本隊所属・梢枝原隊副隊長
巴音城本隊隊長 巴音城海羅(9級)
巴音城本隊副隊長
巴音城本隊隊員
巴音城本隊隊員
巴音城本隊隊員
巴音城本隊所属・湊谷隊隊長
牙煌本隊隊長 牙煌光己(9級)
牙煌本隊副隊長
牙煌本隊隊員
牙煌本隊所属・常世田隊隊長
牙煌本隊所属・常世田隊副隊長
牙煌本隊所属・宗隊隊長
「作戦としては及川本隊と巴音城本隊に九十九麗奈、牙煌本隊に武藤刃の相手をしてもらう。」
「九十九の弟については?」
「問題ない。予めこの襲撃の件を奴らに伝える。九十九玲の引き渡しを明後日までに行え、従わない場合3日後に襲撃する、とな。」
「なるほど。そうすれば九十九の性格上、彼を戦闘には出させないと。」
「ああ。ダメ押しに決行時にもそのことを強調すれば確実に出てこない。」
「待てよ、九十九本隊は3名なんだろ?司令、もう一人も無視で良いんですか?」
「ああ、もう一人は非戦闘員だ。気にする必要は無い。」
「それより牙煌君は自分の心配じゃなぁい?武藤君に勝てるよねぇ?」
「舐めてんのか、及川?奴は5級だろ?強いという噂は聞いてるが、俺の相手になるものか。」
「強いってもんじゃないよぅ。そっか牙煌君は最近組織に入ったばっかで知らないかぁ。彼はねぇ、4年前に起きたみなとみらいでのネメシス侵攻時に9級ネメシスを一人で7体倒した、正真正銘の化け物なんだよぅ。」
「みなとみらいっていうと9級ネメシスが10体以上同時発生した最悪の事件じゃねぇか。一人で7体だと?そんなことができんのか?」
「だから油断しない方がいい。彼の実力は私達に並ぶ本隊長級、もしくはそれすら越える実力者だ。」
「何でそんな奴が5級止まりなんだよ!!おかしいじゃねぇか!!」
「彼が九十九の元に就こうとしたからだ。我々では制御できないと確信し司令は7級以上には絶対できないと考えたんだ。だが、結果は規則を破り無理矢理本隊に所属をしたというわけだ。」
「だから、あいつも問題児って言われてたのか。そいつの能力は解ってるんですか?」
「ああ、奴は変に真面目な所があってその報告はしている。奴の能力は"
「了解です、司令。必ず成し遂げてみせます。」
「そちらもそうですが私達の方も勝てるかは不安なのですが。九十九の能力は一切解らないのですか?」
「ほとんどな。身体能力の超人的向上、それと特殊な武器を何種類か使ってくるそれだけだ。」
「確かに2人での相性は悪くない。ただ捕縛に失敗した場合の第二作戦は用意されてるのですか?」
「まだ説明していなかったが捕縛とは言ったものの殺してもらって構わない。」
「は?」
「私直属の隊、錦華隊の副隊長、
「直属の隊が存在していたとは。それで彼女の能力は一体?」
「"
東が振り返りそう言うと、後ろから小柄なショートカットの少女が前に出る。
「南町紗蘭です。私は能力で特殊な結界を張ることができます。その結界から出る方法は結界内で死ぬことのみとなります。」
「万が一殺してしまっても死ぬことはないということか。しかし、それでは逃げられるのがオチのように思えるが。」
「問題ありません。復活地点は私が設定可能です。加えて、復活時に全てのネメルギーを失うこととなります。」
「殺せさえすれば捕縛は簡単になるということか。そんな都合の良い能力が存在していたとは。では司令、最悪相打ちでも構わないということですね?」
「そうだ。」
「そもそも相打ちにもできないかもしれないですよぅ。」
「その場合の対策もすでに立てている。余計なことには頭を回さなくていい。」
「わかりましたぁ。」
「では解散だ。各々準備はしておけ。会議は終わりとする。」
玲は麗奈に連れられ基地へと着く。
「玲、これからは私の隊としてまた一緒に生活しよう。」
「うん。それでこの人は誰?」
「そうだった。刃、キラリも呼んで。」
「了解です。」
そう言って武藤は奥の部屋へと行く。しばらくすると一人の女性を連れてやってきた。その女性は長い金髪をツインテールでまとめ、少し露出の多めな派手派手な服を着ていた。
「それじゃあ紹介しよう。この二人が私の隊に所属してる人。」
「武藤刃だ。」
「天ノ
「よろしく頼みます。」
「そう言えば本隊長何したんですか〜?司令から、九十九玲の引き渡しを要求する、さもないと強硬手段を行うこととなる、っていう連絡が来てたんですけど。また怒らせたんですか〜?」
「迎え討つとだけ言い返しとけ。それで良い?」
「えぇ、構いません。」
「いいんじゃないんですか〜。」
「姉さん、俺も一緒に戦うよ。」
「絶対に駄目。玲は大人しく基地の中に居なさい。目的は玲なんだから。」
「でも、、」
「大丈夫、二人だけでなんとか出来るから。」
「心配しないでくれ。本隊長には全く及ばないが私もそれなりには戦える。それに君に戦わせる訳にはいかない。年下を守るのが年長者の責務だからな。」
「相変わらずお堅いな〜。いちいち長々しいのよね〜。」
「とにかくわかった、玲?」
「じゃあそうするよ。」
それを聞き麗奈は満足げに頷く。玲が少し悲しそうな顔をしているため心を痛めるが、玲のためと自分に言い聞かせそれを堪える。
「それでは折角だし軽く鍛練をしないか?肉弾戦を極めるのは大事なことだ。」
「刃、少しでも怪我をさせたら命はないと思え。」
「本隊長、、それでは鍛錬になりませんよ。」
「大丈夫だって、姉さん。ぜひお願いします、武藤さん。」
「刃でいい。同じ隊に所属をしたんだ仲良くしよう。早速やろうか。ついてきてくれ。」
そう言って刃と玲は訓練部屋へと行く。
「刃なんか嬉しそうですね〜。あいつ面倒見いいですし世話を焼きたいんですかね?」
「さあな。私も一緒にやろうと思う。今日の夕飯はお前に任す。」
「はいは〜い。」
キラリも新しい仲間ができたことを嬉しく思い、何を作ろうか思案するのであった。
襲撃決行日の朝、襲撃犯は九十九本隊基地から少し離れた位置で待機をしていた。
「司令、全員揃いました。いつでも作戦実行可能です。」
「了解だ。では、いまこれより作戦を開始せよ!!」
「はっ!!」
「はぁ、面倒くさいなぁ。朝早くからぁ。」
「そう言うな、内輪揉めはないに越したことは無いだろう。」
「今回できっちり分からせて二度と逆らわさせねぇ。あいつらは調子に乗りすぎだ。」
「その通りだ。これ以上の諍いは不毛だきっちり終わらせるとしよう。ん?」
巴音城は何か異変を感じる。基地からなにかが出てきたように見えたのだ。
「あれは、、、砲台だ!!まずい!!奴ら最初から手加減する気がない!!」
慌てて巴音城は再び東との無線を繋げる。
「結界の発動を今すぐお願いします!敵は我々を殺す気で来ています。」
「わかった。今すぐ行わせる、南町!」
その言葉と同時に超大規模な結界があたりに広がる。
「はははっ、私お手製の対ネメシス砲にあいつらビビってるよ〜。」
基地内の管制室でキラリは笑いながらそう言う。それを後で聞く玲がキラリに尋ねる。
「天ノ川さんが作ったんですか?とても一人で作れるような代物には見えませんが。」
「私のこともキラリって呼んでくれていいって。それとねこれが一人で作れちゃうのは私の能力のおかげなんだ〜。”
「凄い、、流石ですキラリさん。」
「でしょでしょ〜。ということで発射〜!!」
「来るぞ!全員回避!」
放たれた砲弾が元々いた地面をがっつりと抉り、その衝撃で地響きが起こる。
(なんて奴らだ。容赦が一切ないな。さてどうやって九十九麗奈を誘い込もうか。弟のことを言えば怒って出てくるか?)
そんな巴音城の悩みはすぐに解決されるのだった。麗奈が襲撃隊の元に近づいてきたからだ。後ろでは刃が基地から出てくるのが見える。
「牙煌、作戦通りお前は武藤に当たれ。しくじるなよ。」
「てめぇもな。」
牙煌本隊は基地の方へと向かう。
「さて九十九本隊長には我々を相手してもらおうか。」
「玲は渡さない。」
「そういうわけにも行かないんでね。全員行くぞ!」
「本隊長いい加減やる気出してください!」
「わかったよぅ流香ぁ。及川隊も行くぞぉ!」
そして、
「よぉ、武藤。てめぇも強いんだってな。俺の相手になるのか楽しみだぜ。」
「司令の犬はよく吠えるのだな。」
「いいぜ、望み通り潰してやらあ!」
こうして戦いの火蓋が切られたのであった。
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