二十、告白
「──珉、
どうやら、この感じからして容姿は元に戻っているようだった。
「ここは……」
「
寝台の傍で、
「すまない、起こしてしまった。魘されていたから」
「ありがとう、ございます……変な夢を見てて……師兄のおかげで目覚めることができました」
「そうか」
まだ脳は覚めきらず、ぼうっと覚束無い。
(ここは師兄の部屋だ。俺は妖魔を倒した後、どうなったんだろう)
「狩りは、妖魔狩りはどうなりました!?」
「もう終わった。今は夜だ」
「そんな!」
首を横に振る
(一位になろうと意気込んでいたのに、俺はたったの八点……。くそ! あの湖にさえ落ちなければ……)
そう落胆する
「首位は
「俺が二位っ!?!?!?」
たしか、原作の
「でも、俺は八点じゃ……」
「君の得点は二十八点。鍾乳洞で倒した妖魔が、点数に加点されていた。つまり奴も秘境の主であったということだ」
なるほど。簡単に言えば奴は秘境の裏ボスであり、今回の妖魔狩りでは二十点相当であったということか。
( でも、おかげで
(
もはや、妖魔狩りで成果を上げて好感度と信頼を勝ち取り
まさに絶体絶命のピンチだ。修仙者が魔力を持つなど禁忌……。さらに、妖魔王の器ということもバレてはいまいか。
「あのう……師兄…………」
なにか弁解をしようとするが、今更なにを言っていいのかわからない。そして、あまりに恐ろしくて
「
(ああ、やっぱり……!)
これからどうなるのだろう……。
「問いを変えよう。貴方のような仙人様が、なぜ
「へ……?」
想定外の問いかけに
(仙人様……?)
仙人様といえば、最初の頃に
(成りすましって……俺の魔力となにか関係があるのか?)
思い出せ、
『私はずっとあなたを探してたんだ! あなたに会うために仙郷に入り、あなたに追いつくために修行を積んできた……』
突然、記憶の一番隅の方に引っかかっていた
(つまり、
なんということだ。
(仙人様は
きっと、その人物こそが、
「
何も言わない
「あの時、君の姿が変わっていた。背丈は私と同じくらい。髪や目の色は同じだが、今の君より五年ほど成長していた。……過去に、私を助けてくれた仙人様そのものだった」
そう話す
やはり、
(
(ええい! こうなれば俺のためにも
「師兄、実は……俺の身体の中には魔力が埋め込まれてるんです。それも強力な……」
「信じられないかもしれませんが、この魔力は妖魔王のものなんです……。頭がおかしくなったんじゃないですからね! 本当なんです!」
「妖魔王!? 妖魔界の長である、あの妖魔王か?」
「はい。どうやら、俺は妖魔王の器ようで……」
「器? 君はなんの話をしているんだ……? なぜ妖魔王の魔力が君の中にあるんだ」
「幼い頃の記憶がないので、なにがどうなっているのか俺にもよく分からなくて……」
(変なことを言ってる自覚はある……あるけど他にどう説明すればわからない)
さらに、
「師兄、先程俺の姿が変わったのは、その魔力が溢れてしまったからだと思と会ったことはないけどのおっしゃる仙人様とはもしかして妖魔王だったのでは」
「……」
「俺はここに来る以前に師兄と会ったことがありません。そうなってくると、やはり……」
仮定として話したが、
「
「はい」
「それと、今日の狩りではよく頑張ったな。君と
「師兄……!」
突き放されることを覚悟していたが、予想外に
正統を重んじる
柔らかい
すると、
「よかったぁ……案外どうにかなるもんだな」
魔力に気づいた最初の頃は、「こんなことがバレたら終わりだ!」と怯えまくっていたが、
初恋の人が妖魔王だと知ってショックを受けたに違いないのに、最後には優しい言葉もかけてくれた。
「やっぱり好きだ! このイケメンめ……!!」
今日話したことを、
また魔力が解放されたらどうしよう。次こそ完全に乗っ取られてしまうかも……。
「ん……?」
そう思い再び起き上がると、入口には
「
そう、この少年は
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