十七、交流会〈二〉
横から姿を現した
(顔こわっ!?)
消えていく邪鬼を見つめる
「あれ、
「さっきの技、すごい火力だな! 流石、
「ありがとう! 君は順調にいってる?」
「いやー、ここらは低級しかいなくて点数はまだ全然さ」
「はは、俺もだよ」
(ぐぬぬ……すぐに抜かしてやるからな!)
重要イベントさえ壊さないようにしていれば、多少の原作改変は許されるだろう。ここで
「そうだ! 君に聞きたいことがあるんだけど……」
「どうしたんだ?」
「その……前回の交流会から今日まで、
なんということだ。最強主人公が
「どうして?」
「仲良くなりたいと思ってたのに、なんだか怒らせちゃったみたいで……」
悲しげに零す
その後、
「たしかに
「本当か!?」
「
「えっ!? その……真剣な眼差しがかっこいいなって……それに、とても真面目な子だろう。かわいらしいところもあるし……」
「なるほどなるほど」
まさか、本人の口から
「ありがとう、一先ず安心したよ……。競技中にごめんな。お互い頑張ろう!」
「おー!」
「よし、まずはあいつに追いつかないとな」
「おっと、こっちはダメだな」
無意識にボスが出現する場所の近くまで来てしまい、慌てて方向転換をする。
今俺が遭遇したら、
(影から眺めるくらいなら許されるかなぁ……終盤になったら様子を見に来よう)
先程から数人の弟子たちの姿を見かけるが、
やがて、
(何かいるな……)
辺りを警戒していると、苔むした岩陰から、ズルっと引き摺るような音が聞こえてきた。
すると、鱗を纏った大蛇が威嚇しながら首を伸ばして、噛み付こうと牙をむく。
「せいっ!」
「
蛇妖は中級妖魔だ。数メートルの長さの太い胴は硬い鱗に覆われている。加えて、頭は龍のような形をしており、左右に腕が生えている。
大きく裂けた口からはズラリと並ぶ尖った牙が光り、その牙に噛まれると全身に毒が回ってしまう厄介な妖魔だ。致死の毒ではないにしろ、噛まれてしまえば暫く身動きは取れない。
「ははっ、ようやく三点の獲物が来たぞ」
「
「くらえッ!」
「ギィィッ!!!」
氷風が妖蛇の身体を包み瞬く間に全身を氷結させる。すぐさま風に煽られた蒼炎が凍った妖蛇を溶解させ、断末魔を上げながら粉々に熔けて消えていった。
「おおっ! かなり上手くいったぞ!」
手の甲に八の字が浮かぶ。ようやく
ここまで六体を相手にしてきたが、
「師兄〜! 俺の勇姿、見えてますか!」
監督席からは各弟子たちの現状の点数を確認することができるはず。肝心な人に活躍を知ってもらわねば意味がない。
『なかなか頑張っているようだが、今は集中しなさい』
「はーい」
「それじゃあ、期待しててくださってうわぁぁあああっ!?!?」
浮かれた調子で話しながら歩いていると、泥濘に足を取られ、そのままバシャンッと勢いよく湖の方へ倒れてしまう。
『
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