十二、胃袋掌握〈二〉
翌日、
この世界において
(
「げっ、
「は、
台所に着くと、どうも見覚えのある少年が鍋を使っていた。それは、寝間着に髪を下ろした状態の
「何しに来たんだよ」
「朝メシ。ちょっと隣空けてくんね?」
「はぁ? 俺が最初に使ってたんだぞ!」
「まぁまぁ、同輩なんだしいーじゃん!」
突っかかってくる
「なっ……その腕、そんなに酷かったのか……!?」
「ん?」
どうやら、
「あーいや、大したことないんだけど、ちょっと血が出てたから」
「血……」
(
(豆腐と
(俺も気が向いたらやっておこう)
おそらく
そんなことを考えていると、
「どうしたー?」
「……これやる」
「え?」
「ほら、受け取れよ」
「えっと、ありがと……?」
引きそうにない
(こ、これは一体!?
「お、おーい!
取り残された
「はっ!」
そして、変なところで勘がいい
(
(ふふん、俺に罪悪感を覚えて、これをくれたってわけだな……!)
怪我をさせてしまった罪悪感がある。しかし、謝るのは癪に障る。
「ふふ、これは俺のおやつにしよう」
そして、一人になった台所で、
◇◇◇
「
「弟弟子の
部屋の入口から
すると、既に身なりの整った
「突然どうした」
「その、昨日のお礼をしたくて……」
「それで、朝餉を?」
「はい! やっぱり、ご飯って一緒に食べた方が美味しいですし……」
(成人男性がもじもじしているのは少々気味が悪いが、今は可憐な美少年だ! いける!)
「もしや、君が作ったのか」
「はい!」
すると、
「隣に」
「はい」
「
「……うん、とてもいい香りだ」
そうだろう、そうだろう。微かに口角を上げる
「師兄、冷めないうちにどうぞ召し上がってください!」
「では頂こう。……ほら、君も座りなさい。"一緒に食べた方が美味しい"のだろう?」
「は、はい!」
(ずるいぞ
流れるようなイケメンムーブにまたしても、
「私好みだ」
「
「へ?」
飲み終えたところで、
(この前の、仙人様のことか……?)
依然として心当たりのない
すると、苓舜は「そうか」と頷き、顎に手を添えてなにかを考える素振りを見せる。
(なにを考えてるんだ……?)
やがて、
(ん……?)
そして
「し、師兄……!?」
対して、
しばしの沈黙の後、
「とても美味だった。ありがとう」
そして、
(え、はっ!?
そんな
「明日は課外演習だ。今日は身体を鎮めて演習に備えなさい」
「はいぃ……」
平然とした
(なんか俺、
(でも喜んでくれたみたいだし、上手くいった気がするぞ……!)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます