二、転生〈二〉
自分が転生したと気がついたその時、
今まで様々な形式の転生モノをたくさん読んできたこととあとは……この非現実的な状況で分泌しまくっているアドレナリンのおかだ。
しかし、受容はできても驚きはある。
まさか、異世界転生が自分の身に降かかるなんて。というか、『桔梗仙郷伝』を完結させる前に死んでしまうなんて……。
(神様はなんて無慈悲な……まだこれから大活躍するって時に……!)
(待てよ……?)
しかし、少し違う視点から考えてみると、この世界は
(最高じゃないか……!)
加えて、『桔梗仙郷伝』の軸としては、復讐や修行の他に"愛"を据えていた。分類はファンタジーBL小説のため、男たちの関係性に重きを置いている。
この小説のラスボス・妖魔王の弱点は"伝説の桔梗"である。妖魔王を倒すには、その桔梗から取れる霊気を吸収する必要がある。
さらに、その仙術を会得するには、修行を重ねて妖魔王と同じレベルまで到達しなければならない。とても困難な茨の道だ。
(どうやらここは、
『桔梗仙郷伝』の主人公・
一方、
(
本編は
「
思考の底に陥っていると、再び
すると、背後からくすくすと
(はぁ……
そして、最初に
彼は、数年前から天郷に籠って修行している師尊の代わりに、
(そして……)
(この強気な子が、
先程から
(
こっそり泣いているところをライバルの晏崔に見られてしまう場面などは、『
「
「はいぃ……」
その冷たい目からして、呆れられているのだろう。
(
それは、作中に自分の名を登場させてみたくなった
「メインキャラは小っ恥ずかしいし、どうせすぐ退場するキャラとかだったら、自分の名を与えてもいいかな」などと、のんきに考えていた昔の自分を殴ってやりたい。
(本当に最悪だ……! だって、『桔梗仙郷伝』の
その洞天仙会でハプニングが起こり、
その時、
などという、あっさり無惨な最期である。
「自分の分身なんだから、死ぬならば好感度の上がる最期にしたい!」と、調子に乗った結果がこれだ。
しかし、原作においてこの洞天仙会の役割は、「自分を助けて死んだ
その結果、
ああ、なんて儚い命なのだろうか。
(もし本当にここが『桔梗仙郷伝』の世界で、俺が
どうせ転生するならもっとこう、
どうして、よりによって
(ああ、自分の名前をつけたからか……)
これが因果というものか。
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