十、梦兄弟
誰の目もない影のかかった隅の方の場所を、
「ふん! 俺のことをバカ
交流会で成果を上げるという明確な目標が見えたことで、
(
この七日間でやるべきことは、体内の霊力と身体をちゃんと同期させて馴染ませること。身体を壊してしまっては元も子もないからな。
「よし」
先程長剣で試した蒼炎舞を鉄扇で試してみることにする。
「ふぅ……」
その場に緩く足を開いて立ち、右手で鉄扇を持って構える。
脳内で術式を思い描いて体内の気を巡らせ、鉄扇に伝わるように意識を集中させる。
「蒼炎舞!」
瞬間、ぶわっと風が通り抜け、空気が振動する。
「はぁっ!」
すると、的はピキピキと音を立てて瞬時に燃え盛り、黒い塵となって風に攫われていった。
「や、やべー……」
(なんか、予想以上に威力高いんですけど!? 俺強くね!? てか、的壊しちゃって大丈夫だったか!?)
宵珉は蒼炎を消して、頭を抱える。たった一日の修行でとんでもない火力の蒼炎舞を使えるようになってしまった。
新入り弟子の中に、このような強力な仙術を使える者はいない、というかいるはずがない。
おそらく、現時点の天才
(
「まあ、強いに越したことはないか!」
しかし、
強いということは、交流会で成果を出せるということ。交流会で成果を出せるということは、
妖魔も修仙者と同じ生物であるから基本的には自由に動き回るので、動く的に対しての修行をしなければならない。
本来であれば、練気期の間は術の鍛錬よりも、ひたすら座禅で精神と体内の気の巡りを安定させるべきだ。
しかし、
「
「げっ」
突然、消炭色の髪の少年が、眉と目を吊り上げてこちらへ駆けてくる。
(この雰囲気からして……
「なんだよ、俺がここにいちゃ悪いのか?」
「ハッ、今更やる気になったのか? だからといって、まだ実践演習できるレベルじゃないだろ!」
「ふん、もうあんたよりは強いけど?」
「はぁ!?」
大人気ないが、負けず嫌いだからつい言い返してしまう。それに今は十五の身体だから、精神もそれに引き摺られているのかもしれない。
「ならここで試してやろうか! だが、
「それはどうかな〜。乗ってやんよ」
「〜〜っ! 怖気付いてももう遅いからな!」
(さっとあしらってやろうと思ったけど、今の俺の攻撃じゃ、死んじゃうんじゃない!?)
まだ仙術のコントロールを修練していない。
「いくぞ!」
「いっ……!」
キンッ!
「う……」
かすり傷がピリリと痛み、
「なんで剣を使わないんだよ……!」
痛がる
(しまった……! まだ、対人の受け身の練習なんてしてないし、さっきの蒼炎舞で既に身体が限界だ……!)
いくら霊力が豊富で、強い術を使えるからといって、身体ができてないと話にならない。
「
その時、
(誰だ……?)
青年の正体が分からず頭を捻っていると、
(
(流石兄弟、似てるなぁ)
キャラクター設定は【
「人に向かって剣を振るうとは……
「でも哥哥! 師兄だってこんなヤツ嫌いに決まってる! ろくに修行もしないくせに、なんで
「彼も合格したのだから、
「は、はい……」
どうやら、
(師兄が俺のことを嫌いだって……!? ふん、さっきは新しい武器をくれたんだ。嫌いなものか!)
当初、
そんなことを考えていると、
「余計なお世話だと思うが、力をつけないと仙郷ではやっていけない。真面目に修行をした方が身のためだぞ」
「忠告ありがとう! またな〜!」
(
モブキャラにしておくには勿体ない君子だ。今後は仲良くしておこう。
「もうちょっと修行したいけど、この調子じゃなぁ……」
先程、
「まぁ……自主練初日だし、今日はここまでにしておこう」
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