九、鉄扇
仙郷の地理は自分で考えたというのもあり、
「でっか!?」
「勝手に入ったらダメかなぁ……」
「まあ、バレなきゃいっか!」
しかし、
「門の開け方は……」
「ひひっ、俺って結構すごいじゃん!」
一か八かであったが、ガチャリと南京錠が外れる音がして、門が開いた。
中には剣・刀・槍・弓など、千以上の武器が揃っている。その色や形はひとつひとつ異なり、豪華絢爛な様は
「すっげー! 想像よりずっとかっこいい!」
(これが、『桔梗仙郷伝』の世界で使われる武器……!)
その出来は、全て
「お、」
武器がずらりと並ぶ棚の一角に、上等な扇子が置かれてあるのを見つける。骨が鉄でできている戦闘用の
現実では殴打用に使われるが、『桔梗仙郷伝』では仙術の発動武器として用いている。
「これいいじゃん〜!」
墨色の扇面には
このシンプルな柄が好みだし、なにより剣と比べるとかなり軽い。素材も高ランクだ。
「
「へっ!?」
(あれ、前にもこんなことが……)
「し、師兄……こんなところで会うなんて奇遇ですね? あはは……」
「何故君がここにいる。どうやって入った」
(最悪だー!! こんなタイミングあるか!? よりによって
「えと……扉を押すと勝手に開いたもので……」
「そうか。ここは修繕が必要だな」
「……新しい武器が欲しいのか? たしかに、その剣は君には合わないかもしれないな」
「えっ?」
「その鉄扇が欲しいのなら、持って行って構わない。師尊には私から話しておこう」
「!?」
(えっ、なんか優しい……!)
まさか師兄直々に許可を貰えるとは。『千以上あるのだしこっそり拝借してもバレやしないか』などと考えていた自分が恥ずかしい。
「やったー! ありがとう! 師兄愛してる!」
「なっ……!」
(あ、やべ)
体幹がしっかりしている
その視線を受けて、
(し、しまったー!! またやってしまった! 俺のバカ!)
つい、優しい
「ご、ごめんなさい……」
「ひと月後、
この交流会は覚えている。
「その狩りの場に、
「えっ、師兄の推薦!?」
「そうだ。妖魔は練気期の君たちでも倒せるくらいのレベルだから安心してくれ」
元々弟子は全員参加する予定であるが、有名な
原作では、その推薦枠は
(早速ストーリーが変わってるぞ……! もしかして、
どういうバグか分からないが、これは都合がいい。好感度を上げる機会が増えたのだから。
「師兄〜。だったら、俺に強い仙術を教えてくれない……? 例えば、奈落の底にいる巨大な妖魔を倒せる技とか!」
しかし、
「だめだ。強い妖魔を倒す技を会得するとなれば、少なくとも私と同じ修行段階まで来る必要がある。第一、君はまだ術をひとつも使えないのだろう。まずは、交流会までに教書に載ってある基礎の術を身に付けなさい」
「ううっ、はぁい……」
ゆっくり諭すように話す
(そりゃそうだよな……)
原作で
金丹期といえば、今の
(まぁ……不思議なことにもう突破直前だし、転生者特権ってことで、半年あれば金丹期までいけちゃいそうな気がするけど)
そんなに直ぐに成長したら色々と怪しまれてしまうので、今は様子見だ。
ともかく、近い目標は交流会で成果を出すこと。そこで、
(ふへへ、「
「師兄、見ててくださいねっ! 上位に入ってみせるんで!」
「それは楽しみだな」
(あ、また意外な表情してる……!)
原作の
だから、このような挑発的な表情は新鮮で、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます