バスケ部員、美風――2
そのあとは図書室で詩織と談笑して過ごし、日が暮れるころに、ふたりで校門付近に移動した。美風と三人で帰るためだ。
五時過ぎ。部活を終えてやってきた美風が、俺たちを見つけて目を丸くする。
「待っててくれたの!?」
「ああ。一緒に帰ろうと思ってさ」
「そうなの……待たせてごめん」
「謝る必要なんてありませんよ」
「けど、退屈じゃなかった?」
眉を下げる美風に、俺と詩織は笑ってみせる。
「そんなことないよ。詩織とお喋りしてたから」
「むしろ、蓮弥さんとふたりきりの時間を堪能できて、満足してます」
詩織の発言は、美風を気遣ったものではなく本音だろう。いつもより肌がツヤツヤしているのがその証拠だ。
それでも、いまだに美風は申し訳なさそうにしていた。ツンツンしているように見えて、実際は優しい子なのだ。
苦笑を浮かべ、俺は美風に伝える。
「俺、言っただろ? 『可愛い子に夜道を歩かせるわけにはいかない』って。俺がしたくてしたことなんだ。気に病まなくていいよ」
「~~~~っ! こ、この女
顔を真っ赤にして、美風が睨み付けてきた。わかりやすい照れ隠しだ。
ダメだぞ、美風。そんな可愛いリアクションをされたら、イジワルしたくなっちゃうじゃないか。
好きな子にほどイジワルしたくなるのが男心。我ながら子供っぽいと思いながらも、男の
「照れ隠しが丸わかりだぞ、美風。本当に可愛いやつだなあ」
「うるさいうるさいうるさいうるさい!」
「激しく同意です、蓮弥さん。女性のわたしから見ても、美風さんはとても可愛らしいと思います」
「詩織まで!? ふたりしてからかわないでよ、もうっ!」
俺と詩織に
俺と詩織は声をあげて笑った。
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