第42話
「ほんとにそうかな」と北条さんは考え込むように言った。
北条さんは僕の家に泊まり込むみたいだ。
僕は食事の準備をしていると
インターフォンからチャイムが鳴った。
「はい」と僕が言ってドアを開けると
そこには、桐生さんがいた。
僕はまずいと思い平静を装った。
「福山くん、当然ごめん」と桐生さんは言う。
「なにかようかい」と僕は困った顔をしていった。
「今日、福山君の家に泊まりたいなと思って」と桐生さんが顔を下に向けて言った。
「ごめん、桐生さん。ベットがないんだ。突然だし、また今度でいいかな」僕は言った。
「じゃあ、ちょっとだけ家の中入っていい?ちょっと手洗い借りたいし」桐生さんは言った。
これはまずいと僕は思った。桐生さんに家の中にはいられると北条さんに見つかってしまう。
北条さんは今、リビングの部屋で食事を取っている。
手洗いだけなら、ドア越しで気づかないかもしれないが
北条さんがなにか気づいてドアを開けて鉢合わせたらばれてしまう。
「ごめん、いま部屋散らかってみせたくないんだ」僕は言った。
「え、トイレ行くだけどよ。だめなの」桐生さん怪訝な顔で言った。
「うん、うちの近くの駅にトイレあるよ」僕はいった。
「え、福山君の家から駅までって20分かかるじゃん。福山君ひどいよ。」桐生さんは言う。
「え、そういわれてもほんとに家の中見られたくないから」と僕は困った顔を装っていった。
「福山君、何か隠してるでしょ。家の中見せれないなんておかしいよ」桐生さんが言った。
「いやいや、違う違う。そんなトイレ行きたいなら、うちの家に入っていいよ」僕は焦った表情で言った。
「じゃあ、福山くんの家のトイレ借りるね」桐生さんが言った。
結局、桐生さんを家の中に入れることになってしまった。
今、家のリビングのドアはしまったままだ。桐生さんがトイレに行って何事もなく
帰ってくれればばれない。ここで、僕がリビングには行かないでねと言うと
怪しまれる可能性がある。ここは運に任せるしかない。
僕はドアを開けて桐生さんを家の中に入れた。
桐生さんは廊下の横のトイレに入る。
僕はその間、北条さんに「友達がきたから、ちょっと話してくる。
すぐ終わる」と伝えた。
僕は、玄関の前で待機していると、桐生さんがトイレのドアからでてきた。
「桐生さん、送ってあげるよ」と僕がいうと
桐生さんわき目も振らずに、リビングのドアを開けた。
僕はまずいと思い。急いで後を追う。
しかし、間に合うわけもなく、
「きゃ、女がいる」と桐生さんが言った。
「え、あなた誰、」北条さんが言った。
2人は見つめあっていぶかしあっていた。
「福山君どういうことか説明して」北条さんが怒った口調で言った。
「いや、これはその」僕は口ごもる。
「え、まさか浮気。そんな」桐生さんは泣きそうな顔をした。
「ごめんなさい、二股してました。」僕はそう言った。
「ありえない」北条さんが怒る。
「大切に思ってくれてないんだ」桐生さんは言った。
「いや、そういうことではないんだ」僕は言った。
「ほんとにどういうこと。まじでないんだけど。」桐生さんが言った。
「ほんとにごめん」
「で、どっちと付き合うわけ」北条さんが言った。
「え、どっちも好きだけど、やっぱり北条さんです」
「だったらなんで浮気したんだ、最低」北条さんが言う。
「そんな、一緒にいて楽しかったのに」桐生さんが言う。
「ごめん、桐生さん。僕は大きな間違いをした。許してほしい」
「福山くんのいい所も知ってるつもりだから、わかった。これでお別れね。」
「いや、別れたくないです。友達からでいいでしょうか」
「わかった。友達からね。」
「これで、今回の件はおしまいにしましょう。」北条さんが言う。
「わかりました」と桐生さんが言った。
「なんか、ここで別れるの後味悪いからトランプ一緒にやりましょう」北条さんが言った。
「いいね」と僕は言った。
この後、桐生さんと北条さんと僕でトランプをやって
桐生さんと北条さんの仲は、よくなった。僕は桐生さんが家に帰った後
こっぴどく北条さんに怒られた。
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