第17話
次の日、僕は佐伯と一緒にバッティングセンターに行った。
バッティングセンターに行ってうまくなってもプロになれるわけではないのに、僕は乗り気で来ていた。
ボールを打つことは爽快で気分がいいのだろう。
佐伯がバッタボックスに立ってバットを構えていた。
僕は後でその様子を見守っていた。
一球目が18センチ離れている穴から出てきた。
佐伯はバットを振ると球は空を切った。佐伯は空振りして悔しがった。
「最初だから、気楽に」と僕は声をかけた。
2球目ボールが来ると佐伯は見事にセンターに打ち返した。
実際は前に飛んだ打球でネットに吸い込まれたが、いい当たりなので、実際の野球だったらセンター前に落ちただろう。
佐伯は、その後も何回か空振りをしたが、それでもいい当たりをとらえていた。
佐伯が、打ち終わると、「いや、いい当たりが飛んだよ」と僕に嬉しそうに言った。僕は、「綺麗なセンター前だね」と言った。
僕は、佐伯に代わってバッタボックスに入っていった。
一球目僕は、空振りした。最初だからそんなものだろうと思い、2球目はよく球をみることにした。球を見すぎて、また空振りをした。
しかし、手ごたえはつかんでいた。
3級目、狙いをつけて打つと綺麗に打球が飛んでいった。
この感覚だと僕は思いその後もいい当たりをとらえていた。最後の球を打ち終わると、
僕はバッターボックスから離れて、待合室で「いや、結構打てたよ」と僕は言った。「すごいな。福山いい当たりばっかりじゃないか」と佐伯は言った。
「まあ、コツをつかんだからね」
「プロにもなれるかもな」
「冗談言うなよ」と僕は言った。
僕らはバッティングセンターで時間をつぶしていた。
僕は、調子がどんどん悪くなってあまり打てなかったが、佐伯は調子をあげて、いい当たりを何発も飛ばしていた。
「そういえば、昨日ジャイアンツさよならヒットだったよな」と僕は待合室で2人で待っている間に言った。
「岡田が打ったんだよ、さすがホームラン王だぜ。」と佐伯はいった。
僕らは、ボールを打った後、バッティングセンターを出て、それぞれ家に帰っていった。久しぶりに体を動かしたので、気持ちよかった。
3日後、僕は朝食を食べていた。
朝食は食パンでいつもイチゴジャムを塗っている僕はこのごろ、ヴァンパイアの人たちとし関わっていないなと思った。
別に人間に拒否反応があるわけではなかった。
たまたま、ヴァンパイアの人たちと関わっているだけだった、僕はヴァンパイアと人間は別の人種という考え方はしていない。
ヴァンパイアは血を吸うだけの生き物なのだから、ただ単に人間の派生したものだと思っている。
僕は、朝食を食べると、3日前にもらった招待状のチケットを確認した。今日は、ヴァンパイアの集会であった。
集会といってもパーティーみたいなものである。僕は、チケットを大事に封筒にいれて、その封筒をバッグにしまった。
今日は僕にとっては2回目のヴァンパイア集会で、楽しみであった。
集会は6時からで5時15分なったので僕は、封筒をもって家を出ていき、集会会場へと向かった。
集会にいくと、高級そうな壁にガラス張りになった窓があった。
1回目と同じようにたくさんの人がいる。その中で僕は井端さんをみつけた。
「こんばんは」と僕は言った、
「やあ、福山君、どうじゃいい雰囲気じゃろ」と井端さんは言った。
「はい、楽しみです」
「また、今度会おう」と僕は井端さんと別れると飲み物をウェイトレスからもらって飲んでいた。
あたりを見渡すと、綺麗な衣装を来た人や、かっこいい男の人などがいた。
僕が来ていい場所なのかなと少し不安になったが、僕は楽しんでいた。
前から、綺麗な瞳をした人がこっちに向かって歩いてきた。
僕は、少し戸惑ったがそれがすぐに、桐生さんだと気づいた。
1回目であったとき以来であった。
「こんばんは、元気だった」と桐生さんは言った。
「また、会えるとは思わなかったよ」と僕は言った。
「そういえば、通り魔がc地区で捕まったんだってね」
「そうなんだよ、それも僕がよく行っているスーパーのレジ打ちの人だったんだ。」「へぇ、それじゃ身近にいたんだね」
「僕らはヴァンパイアだからきっと大丈夫だよ」
「自分を過信しないとうが身のためだよ」と僕らは通り魔について話をした。
「『夏の終わりの戦闘機』っていう映画見た?実は監督がヴァンパイアで界隈で話題になってるんだけど」と桐生さんは言った。
「見たよ、とてもいいお話だった。」
「生きる力をもらえたわ」
「確かに僕たちには経験できない何かがあったね」と僕は桐生さんの衣装に魅了されていった。
「こんど、『雪山山荘事件』っていう映画やるんだけど知ってる?」と桐生さんは言った。
「知ってるよ、面白いと思って見に行く予定なんだ」
「今度、一緒に見に行かない?」
「いいよ、予定空いてるから」僕らは、映画に行く予定日を話し合った。
12月に行くことが決まった。桐生さんと別れた後、僕は、席に座って一休みした。僕は、ちゃんとした衣装を着こなしてはいたが、あまり似合わないなと自分で思った。
僕は、佐伯を探すことにした。きっと佐伯も今日来ているだろうとおもいあたりを見回したがいなかった。今日は来ていないのかもしれない。
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