Act.5 崩爛亭・老仙
あれから二週間後の2月29日、時刻は午後16時ごろ。現在アタシは相棒である改造バイク『KaWaSaKi NiNJA666』に跨って街中を疾走している。
アタシ専用にチューンアップした彼は、機動性と快適性の
本来は2気筒仕様の
最高速度約350km/hを可能にしながらも、シュチュエーションにもよるが50km/Lの超高効率燃費を実現している。
さらにはアタシの
そもそも非売品だが価格としては高級車二台分するであろうアタシの相棒は『師匠』からの入門祝いとして受け取ったものだ。英雄とは言え、彼女は一体どこまで影響力が高いのだろう?
アタシはそんな
本来、彼女を迎えに行くはずの『幽奈の使用人』が突然休養を取ることになった為、代わりにアタシが迎えに行くように『霊茄』さんに頼まれたのだ。
ちなみに運賃料は払うと霊茄さん言われたが、「友を迎えに行くだけなので」と予め断っておいた。
…………………………………………………………………………………………………
時刻は午後16時30分。学校に着いたアタシは、校門前に
赤黒い吐息を口から吐きながら校舎を見上げると、如何にも金がかかったまるで現代美術館の様なおしゃれな校舎で、まさに上級国民しか通えない様な場所だと瞬時にわかる。
…先の事件があった為かスクールセキュリティがアタシに近づいてきたが、『狩人証』を適当に見せて追い返した。まぁ無理もないか。赤色のインナーシャツの黒スーツを着た男装女が、校舎前に派手な朱色の大型バイクで乗り付き煙草を吹かしてるとなると、夜社会の
そんなアタシの姿を、帰り際や校舎の窓際の女子生徒がキャッキャしながらチラチラ見てくるので、何だか腹がたったアタシはこっち見んなの意味を込め、彼女らに中指を立てておいた。
…何故か黄色い声がさらにそのボリュームを増したが、一体どうなってんだこいつらは。
「見せモンじゃねぇぞ、バカ垂れが…」
早くこの場を去りたくてイライラしていると、『幽奈』が顔を真っ赤にさせながら俯き、肩を震わせながら近づいてくるのが見える。校門まで俯きながら早歩きで歩く彼女を、他の生徒がコソコソ話をしながら見てるあたり、多分いじめられてるのだろう。…金持ちも大変だな。
足を踏み鳴らす様にアタシの前に来た幽奈は、アタシが差し出した幽奈用のヘルメットを奪い取る様に受け取ると、震えながら一言。
「早く出しなさい…」
とだけ言った。せっかく迎えに来たのに粗野な扱いを受けてカチンと来たアタシは
「ヘイヘイ。仰せのままに、『お姫様』」
と適当に返すと、先ほどの女子生徒達が大声で騒ぎ立て始めた。ホント何なんだこいつら…。
大きくため息をつき、ヘルメットを顔を隠す様に勢いよく被る幽奈を
「…あのさ、言いにくい話だとは思うけどよ、お前学校で虐められてるならアタシに言えよ。アタシがちょっと脅かして黙らせてや…」
ニケツ走行中、アタシがそう言いかけたところで、後ろからヘルメット越しに思いきり頭をぶん殴られた。
ダァー!!!ホントに何なんだよ金持ちってやつは!!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます